• 糖尿病
  • 2017/4/2

糖尿病連携手帳:最高の自己管理ツールであり、命を救う手帳です

糖尿病

『私は糖尿病です。I HAVE DIABETES 私が意識不明になったり、異常な行動を示したら、私の携帯している砂糖(ブドウ糖)、またはジュースか砂糖水を飲ませてください。飲めない場合や、飲んでも回復しないときは、救急車(119番)を読んでください。』これは、糖尿病連携手帳のはじめに書かれている文言です。この手帳を手渡されたとき、どのように管理したらいいのでしょうか。この手帳を自己管理ツールとして最大限利用する方法をここに紹介します。この手帳が自分の命を助けることになるかもしれません。

1.糖尿病連携手帳

糖尿病連携手帳は、糖尿病と診断されたときに医師から渡される手帳のことです。手帳の中で、血糖値やHbA1cなど、様々な情報を記録することができ、血糖値をコントロールするための自己管理のための手帳です。そしてもうひとつの大切な役割は、もし道端で意識を失って倒れたときに、糖尿病手帳がカバンの中に入っていると、あなたの体のことを救急隊は瞬時に理解でき、あなたの命を救うことだってあるのです。

・糖尿病連携手帳の内容と役割

糖尿病連携手帳を初めて手にした印象はいかがでしょうか?何か急に病人にさせられたような気分になりますよね。気持ちが落ちる感覚がある一方で、落ちた気持ちが逆に気持ちを強くし、引き締まった感覚があるかもしれません。この糖尿病連携手帳は、血糖値やHbA1cなどの情報を記録することで血糖値をコントロールするための自己管理ツールです。さらに、医療スタッフが手帳に所見やコメントを記入し、患者さんを中心とした連携を図る、いわば交換日記的な役割を果たす重要なツールなのです。

手帳の内容は、体重、血圧、食前食後の血糖値、HbA1c、総コレステロール、HDLコレルテロール、中性脂肪、GOT/GPT、尿糖、タンパク、ケトン、眼底所見、食事量などを記入できるようになっています。定期的に通院した際の検査結果も記録されますので、それぞれの数字の変化を確認することができます。

自己管理する上で参考になりますし、普段から携帯することで、仮に昏睡状態になってもこの手帳を持っていることで、自分が糖尿病患者であるということを周囲に知らせることが出来ます。

糖尿病連携手帳には、次のような文言が記載されています。

私は糖尿病患者です。

I HAVE DIABETES

意識不明になったり、異常な行動がみられたら、私の携帯している砂糖(ブドウ糖)、またはジュースか砂糖水を飲ませてください。これでも回復しない時は、裏面の医療機関に電話をして指示を受けてください。

医療機関の皆様へのお願い

私の意識が低下していたり、異常な行動を示すときは、血糖値を調べてください。低血糖を疑われた場合は、ブドウ糖の注射をお願いします。また、災害、手術などで、私のより詳しい情報が必要な場合は、次のページの医療機関や主治医に照会をお願いいたします。

(社)日本糖尿病協会 糖尿病連携手帳より抜粋

糖尿病連携手帳は、糖尿病と診断されたとき、医師から渡されます。この日から、糖尿病連携手帳を用いた自己管理の日々が始まります。この糖尿病連携手帳は、日本糖尿病協会が発行しており、患者本人様と、関係する医療機関とが、情報を共有することができ、糖尿病連携をスムーズに行うための手帳です。今後、糖尿病の担当医のみならず、さまざまな病院にかかる際、必ず携帯し、医師に提示してください。この糖尿病連携手帳は、かかりつけ医と専門医療機関の間を行き来するための通い帳として、その存在意義を発揮することになります。

2.糖尿病連携手帳を自己管理ツールとしてやるべきこと

多種多様化する糖尿病患者の背景から、今後の糖尿病診療は治療目標のみに固執するのではなく、糖尿病連携手帳を通じて「糖尿病とともにいかに豊かに暮らせるかを追及すること」という視点を編集の基本方針として作成されています。また、糖尿病地域連携のツールとしての機能を重視しながら、「必要な情報が一目でわかること」をテーマに、基本情報や検査項目を記入できるようになっています。

・基本情報を記入し、糖尿病について学びましょう

まずは、氏名や住所などの個人情報と共に、かかりつけ医、病院、かかりつけ眼科医、かかりつけ歯科医を記入するページがあります。ここは重要な情報になりますので記入しましょう。次のページからは、糖尿病連携パスの説明や概略と共に、糖尿病の診断基準や糖尿病について、の記載があります。ぜひ折に触れて何度も目を通してみましょう。

 

・検査(定期検査、複数の病院での検査)ごとに記録を記入しましょう

血液検査の結果4回分を1ページに記載できるようになっております。そのため、4回分の検査結果を一覧でき、長期の経過を確認することができます。さらに、三大合併症の検査に加え、神経障害、頸動脈エコー、胸部レントゲン、心電図などの検査についても記入でき、腹部エコー、便潜血など、糖尿病患者に多いとされるがんの早期発見につながることもあるのです。

個人の記録と共に、糖尿病のいろはが記載されています。自ら立ち返る場所として、この糖尿病連携手帳を最大限活用し、自己実現のために長期的に利用しましょう。

3.糖尿病連携手帳を常に手元に

糖尿病治療の目標は、血糖値を下げることだけではありません。健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持することや健康な人と変わらない人生をおくることができるということが目標になります。そのためには、糖尿病の合併症である網膜症、腎症、神経障害、冠動脈疾患、脳血管障害、末消動脈疾患、歯周病、認知症などの進展を阻止することが特に重要です。

手帳の名前に、「連携」という言葉が入っています。これは、糖尿病治療においては、糖尿病の担当医だけではなく、かかりつけの眼科医やかかりつけの歯科医との連携が大切であり、そのために役立てることができる手帳であるということを意味しています。さらに看護師、薬剤師、栄養士など、一緒に立ち向かうチーム医療のメンバーすべての人にとって重要なものになります。あなたの情報を共有することで、間違いのない糖尿病診療を行う仕組みを『糖尿病連携』と言います。

あなたの命を守ってくれる、大切な情報のつまった糖尿病連携手帳です。特に旅行に出ているときを含めて外出する際には、お財布や携帯電話と一緒に、必ずいつもカバンに忍ばせてください。

4.糖尿病眼手帳と障害者手帳とは異なります

糖尿病と診断されると障害者手帳も持つことになるのかという疑問を持たれる方も多いと思いますが、糖尿病と診断されてもすぐに障害者手帳を手にするわけではありません。また、糖尿病連携手帳とよく似た名前で、糖尿病眼手帳というものがあります。

4-1障害者手帳

糖尿病になると障害者扱いになるのでしょうか?その回答としては、すぐに障害者扱いになることはありません。すなわち、糖尿病の診断を受けただけでは、障害者手帳はもらえないのです。糖尿病が悪化して、合併症が発症したり、生活を送れない状態になったりした場合にはじめて障害者手帳は交付されます。

糖尿病が悪化して、どのような疾患が生じた場合に障害認定になるかは認定要綱に記載されています。それによりますと、糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する、とあります。さらに、特に、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等の慢性合併症が発症、進展した場合に糖尿病合併症に対して認定される、ということです。

4-2糖尿病眼手帳

糖尿病網膜症の早期発見には、眼科医・内科医との連携が必要であり、適切な治療には患者さんの診療放置・中断をいかに防ぐことが大切であります。糖尿病網膜症は視覚障害原因疾患の第2位であり、その要因として治療の放置・中断が挙げられます。このような背景もあり、治療の放置・中断抑制に一層繋がること、および眼合併症の診断・検査・治療に関する最新情報を内科医・眼科医が共有できることを目的に作成されています。糖尿病連携手帳と合わせて利用されるとよいでしょう。「糖尿病眼手帳」をご希望の場合は、手帳申込み の要項にてお申込みください。

日本糖尿病眼学会

6.まとめ

  • 糖尿病連携手帳は、血糖値やHbA1cなど、様々な情報を記録することができ、血糖値をコントロールするための自己管理のための手帳です。
  • 糖尿病の担当医だけではなく、かかりつけの眼科医やかかりつけの歯科医との連携が取れる大変有意義な手帳です。
  • 常に身につけておくことで、万が一のときに他者に「私は糖尿病患者です。」と知らせることができ、命を助けてくれる手帳です。