• 糖尿病
  • 2017/5/28

今、知りたい!糖尿病を発症する年齢ってどれくらいなの?

糖尿病

糖尿病にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型の場合には若くして発症することが知られており、Ⅱ型の場合には、30代以降に発症することが知られています。両親が糖尿病だと糖尿病になる可能性も高いことも知られています。では、糖尿病を発症させないために、少なくとも発症を遅らせ、元気に過ごすために何をすればよいのでしょうか?大規模な研究における糖尿病の推定発症年齢と共に、対策について紹介します。

1.糖尿病の推定発症年齢

糖尿病になった方の糖尿病発症年齢はとても気になりますよね。ある研究で、糖尿病の推定発症年齢を調べて論文にまとめられておりましたので、まずはこちらを紹介いたします。671名の糖尿病患者を対象とした解析によりますと、推定発症年齢は5歳から77歳にわたっていたということでした。まずは下の表をご覧ください。

推定糖尿病発症年齢 Ⅰ型糖尿病 Ⅱ型糖尿病 不明 総計
年齢 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
-19 9 1.3% 8 1.2% 2 0.3% 19 2.8%
20-29 11 1.6% 29 4.3% 11 1.6% 51 7.6%
30-39 14 2.1% 106 15.8% 14 2.1% 134 20.0%
40-49 11 1.6% 177 26.4% 7 1.0% 195 29.1%
50-59 2 0.3% 152 22.7% 7 1.0% 161 24.0%
60-69 1 0.1% 86 12.8% 2 0.3% 89 13.3%
70- 0 0.0% 22 3.3% 0 0.0% 22 3.3%
  48 7.2% 580 86.4% 43 6.4% 671 100.0%

出典:葛谷健ら, 糖尿病の家族歴陽性率の分析,糖尿病の病型,推定発症年代,既往最大肥満度子供の数との関係, 糖尿病24 (8): 809~816, 1981

全体を通しての結論は次の3つです。

  • 「生活習慣と関係のないⅠ型糖尿病」は糖尿病発症者の約7%であり、「生活習慣の乱れが原因となるⅡ型糖尿病」は約86%でした。
  • 同研究にて、Ⅰ型糖尿病の平均発症年齢は31.0歳、Ⅱ型糖尿病の平均発症年齢は47.9歳でした。50歳を超えてからのⅠ型糖尿病の発症は極めて少なかったようです。
  • 全体的に見てみますと、30代、40代、50代で糖尿病になられる方が約73%ですから、30歳から59歳の間がもっとも発症率が高いということが言えそうです。

1-1.Ⅱ型糖尿病は30代以降に発症する

表をもう少し詳しく確認するために、まずはⅡ型糖尿病についてみていきましょう。

推定糖尿病発症年齢 Ⅱ型糖尿病
年齢 人数 割合
-19 8 1.2%
20-29 29 4.3%
30-39 106 15.8%
40-49 177 26.4%
50-59 152 22.7%
60-69 86 12.8%
70- 22 3.3%
  580 86.4%

生活習慣病と言われ、糖尿病の大半であると言われるⅡ型糖尿病は、30代から増え始め、40代と50代で発症する方が多いようです。これは、食べすぎなどにより急激に血糖値が上がることが多かったり、常に間食をすることにより常に血糖値が高い状態であることが多かったり、脂肪が体内に蓄積されてインスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高い状態が維持されて発症するものです。生活習慣の乱れからくるものなので、30代以降から発症率が増えるようです。30代、40代に突入する前に、生活習慣を見直すことが重要といえるでしょう。

1-2.Ⅰ型糖尿病は若い世代で発症する

次にⅠ型糖尿病についてみていきましょう。

推定糖尿病発症年齢 Ⅰ型糖尿病
年齢 人数 割合
-19 9 1.3%
20-29 11 1.6%
30-39 14 2.1%
40-49 11 1.6%
50-59 2 0.3%
60-69 1 0.1%
70- 0 0.0%
  48 7.2%

Ⅰ型糖尿病について言えば、10代から40代まで満遍なく発症しているようです。生活習慣と関係のないⅠ型糖尿病は、膵臓のβ細胞の破壊によるインスリンの欠乏が原因となるもので、小さな子どもであっても発症することがあります。これは生活習慣の乱れからくるものではなく、予防策もはっきりと示されておりません。10代から40代に発症するケースが多いようです。一般的に言われていることが、このデータからも確認できます。Ⅰ型糖尿病になってしまった場合は、その後の血糖値コントロールをしっかりと行うことが求められます。

1-3.両親が糖尿病の場合、推定発症年齢が低い傾向に

ここではデータを示しませんが、同研究にて次のこともわかっています。すなわち、両親が糖尿病の場合、糖尿病発症率は少し年齢が下がり、30代以下で発症する例も多いというものでした。両親が糖尿病ということであれば、若くして糖尿病を発症する可能性があるということですから、普段から時々気にかけたほうがよさそうですね。

2.糖尿病を発症した場合の予後

糖尿病を発症すると、その後はどうなるのでしょうか?若くして発症することは何を意味するのでしょうか?ここでもうひとつ、糖尿病患者の予後と発症年齢との関係を調べた論文がありますので紹介します。対象は当センターの登録糖尿病患者1,900名で平均追跡期間7.9年において、35歳未満発症の1型糖尿病12名を除き、全例が2型糖尿病でした。その中で、若年発症糖尿病患者は同年代の方に比べて、死亡リスクが高く、 また腎疾患による死亡がとくに多いなどの特徴がみられました。

出典:佐々木陽ら, 糖尿病の発症年齢と予後 とくに若年発症糖尿病患者における高死亡リスクと死因の特徴:とくに若年発症糖尿病患者における高死亡リスクと死因の特徴, 糖尿病 28(7), 833-839, 1985

このことからも、若くして糖尿病になることは、非常に危険なことだということがわかります。両親が糖尿病だからといってあきらめた生活を送っていると、若くして糖尿病になり、予後がよくありません。たとえ両親が糖尿病であっても、糖尿病にならないような生活、あるいは糖尿病を発症する時期を遅らせることで、予後の心配は薄れてきます。特にⅡ型糖尿病の場合には、できる対策はたくさんありますので、次に紹介いたします。

3.糖尿病を発症させない対策

それでは、糖尿病を発症させないためにはどうしたらよいのでしょうか?少なくとも発症を遅らせるためにはどうしたらよいのでしょうか?

3-1.運動するだけで糖尿病を遠ざけることができる

まず、いかに運動することが重要であるかについて紹介いたします。

“体を動かすだけで糖尿病発症率が低下する”

  • 大学の男子卒業生5,590名の追跡観察を行ったペンシルバニア大学同窓生研究によりますと、主に余暇の運動や身体的活動によるエネルギー消費について評価したところ、1週間に500 Kcalの運動をすることで年齢ごとの糖尿病発症は6%低下することが報告されています。この研究の面白いことに、さらに500Kcal運動すると、さらに糖尿病発症は6%低下したというのです。すなわち、1週間の間に500Kcal運動するごとに糖尿病発症は6%低下することがわかったのです。

    Helmrich SPら, ペンシルバニア大学同窓生研究, N Engl J Med 325-147, 1991

やる気が出た方、運動なんてできないやと思われた方、あなたはどちらでしょうか?

このデータは非常に勇気を与えるものだと思います。なにしろ動くだけで糖尿尿の発症を遅らせることができるというのですから。さらにはこの運動による効果は、「年齢ごとに」ということですから、何歳でも該当するということです。何歳であっても、動くだけで糖尿病を遠ざけることができるのです。

データを逆に読み解くと、若くても運動不足になるだけで糖尿病になる確率が増えていくということになります。いかに動くことが大切か、ということが証明されているということです。それでは、糖尿病発症率を6%低下させるための1週間の500Kcalの運動とはどういうものか、見ていきましょう。

3-2.1週間で500Kcalの運動

500Kcalの運動とはどの程度の運動でしょうか?たとえば、早歩きのウォーキングだと約80分、ランニングだと約60分、自転車を少し早くこいで約60分、山に登るで約70分、ゴルフで約120分程度のようです。

出展:CLUB Panasonic

いかがでしょうか?言えることはどんな運動でも60分を目安にすることでよいことがわかります。そして、これを1週間に1回すればよいということですから、できそうではありませんか?また分けることも可能ですから、月曜日と水曜日に30分ずつ歩く、あるいは週に4回15分ずつ歩くでもよいのです。これだけで糖尿病の発症率を6%も減らすことができるのです。

また、「500Kcalごとに6%減少」ですから、月曜日と水曜日に60分ずつ歩くと、1週間で1000Kcalになりますから、なんと糖尿病の発症率を12%も減らすことができるのです。こう考えると、どんどんやる気が沸いてきませんか?歩くといったような簡単な運動を生活習慣に取り入れるだけで、とても大きなものを得ることができるのです。

4.まとめ

生活習慣と関係のないⅠ型糖尿病は、10代から40代くらいに発症します。一方、生活習慣病と言われ、糖尿病の大半であると言われるⅡ型糖尿病は、30代から増え始め、40代と50代で発症する方が多いです。Ⅰ型糖尿病には予防策がないのですが、糖尿病患者全体の約90%を占めるⅡ型糖尿病は1週間に500Kcalの運動をするだけで糖尿病の発症率を6%も下げることができるのです。生活習慣に運動を取り入れて、糖尿病を遠ざけましょう。