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  • 2017/4/30

糖尿病だと治りにくい足の傷。原因と対策、さらに治療方法を徹底解説

糖尿病

糖尿病の方は、傷ができやすく、それが治りにくいと言われています。それはなぜでしょうか?また、その傷は足に多いと言われます。そこで今回は、糖尿病との関わりについて紹介します。さらに、足に傷をつくらないために気をつけること、もし傷ができたらどうしたらよいのかについても紹介します。

1.“糖尿病だと足の傷が重症化しやすい

糖尿病になると、「足に傷がつきやすくなる」あるいは「傷が治りにくい」というようなことを聞いたことはありますか?これはどちらも本当のことなのです。実は、糖尿病になると、神経障害によって足の感覚がにぶくなることがあります。足の感覚がにぶくなると、足の裏に異物が付いても気がつかず傷ができてしまったり、少し擦り傷をしても気がつかなかったりするのです。

「足潰瘍」と「足壊疽」

糖尿病になって、最も怖い足の問題は「足潰瘍(あしかいよう)」と「足壊疽(あしえそ)」です。「足潰瘍」とは、足にできた傷がひどくなって、皮膚が掘れた状態が1週間以上続いた状態を言います。さらに、「足壊疽」とは、足に細菌が感染して血液の流れが悪くなると、皮膚やその下の組織が死んでしまいます。そのような状態をと言います。 最悪の場合、足の一部やすべてを切断しなければならないことにもなってしまいます。

医師から糖尿病と言われた人での合併症の割合は、足壊疽が0.7%とのことです。これは決して小さい数字ではありません。

平成19年国民健康・栄養調査結果の概要について(P9)

2.糖尿病だと傷ができやすい2つの理由

2-1.足に付いた異物によって傷ができる

神経障害により足の感覚がにぶくなり、足に異物が付いたまま、長時間生活していると、その異物が足に食い込むことで足に傷を作ることがあります。また、足にできたタコや魚の目に痛みを感じにくくなるため、そのまま放置したまま生活を送ってしまうことで、皮膚が破れてしまうまで放置してしまうこともあるのです。

2-2.足の形が変わることで圧迫されて傷ができる

同じく神経障害によって、足の筋肉がやせ細り、足の指が曲がったり、足の形が変わったりすることで、足がごつごつしてくることがあります。そしてごつごつした出っ張り部分に、靴や床からの刺激が集中することで、傷ができやすくなります。

3.糖尿病だと傷が治りにくい3つの理由

神経障害により気がつくことなくできてしまった傷は、次のような3つの理由で治りにくいのです。

3-1.血流が悪く栄養分や酸素、エネルギーが届かない

糖尿病になると、血管障害が起きて、特に膝から下の血管が詰まりやすくなり、足への血の流れが悪くなりやすいことが知られています。そうなると足に傷ができても、その傷を治すために必要な栄養分や酸素、エネルギーが不足し、新陳代謝が進まなくなってしまいます。したがって、傷が治らないだけではなく、傷周辺の健康な皮膚までもが死んでしまう壊死状態になることがあるのです。

血流障害のチェック

血流障害になっているかどうかは、自分では気づきにくいものです。ただ、歩いたり、少し動いたときに、ふくらはぎが痛くなったり、痺れたりすることがあるならば、それは血液不足により起こることですから、血液傷害が起きている可能性があります。もしそのようなことを感じたことがありましたら、一度、血流障害チェックをしてもらうことをお勧めします。

3-2.感覚がにぶっており、症状がすでに悪化している

神経障害になっている場合には、感覚が鈍っており、痛みを感じづらくなります。傷ができていても、その傷に気がつかないこともあります。結局、気づいたときには悪化しており、傷が治るまでに時間を必要としてしまうのです。

神経障害のチェック

神経障害になっているかどうかは、自分では気づきにくいものです。しかし病院では、簡単な検査で調べることができます。具体的には、感覚や反射を診る器具で検査をしたり、神経伝導速度という検査をしたりします。糖尿病と診断されて10年以上経っている場合には、足に違和感がなくても、一度、足の神経障害チェックをしてもらうことをお勧めします。

3-3.白血球による免疫力が弱くなり、ばい菌と戦う力が落ちている

血液の中には、傷口から侵入したばい菌と戦う白血球も含まれています。しかし、高血糖状態になると、このばい菌と戦う力が弱まり免疫力が落ちるため、傷が化膿しやすくなり、感染を起こしやすくなるのです。感染を起こしてしまうと、治るまでに時間がかかってしまいます。

傷口をストレスフリーに

足の傷を治すためには、免疫力を助けるためにも傷がある部位にストレスをかけないことが一番です。しかし、足に傷ができた場合には、日常生活の中で歩き回る必要がありますから、ストレスフリーにすることはできないのです。どうしても傷口があちこちに触れてしまいます。こうなると傷口も感染を繰り返し、結果として治りにくくなってしまうのです。

4.傷に気がついたらやるべきこと

4-1.傷口はストレスフリーかつ清潔に

まずは、傷を清潔にしてから観察しましょう。傷が深い場合や大きい場合には病院にいく必要があります。もし、小さい場合には、止血しましょう。傷口をガーゼやハンカチで押さえてください。止血できれば、絆創膏や包帯でしっかりと固定しましょう。傷口が常にどこかに触れている状態だとそれは傷口にとってストレスになり、治りが遅くなります。なるべくストレスフリーにしてあげましょう。

足にできた傷も、通常であればすぐに治るものです。もし足にできた傷がなかなか治らないようであれば、それは上述してきたことが関係する慢性的な傷である可能性があります。慢性的な傷になっている場合は、自宅療法で治すことは難しいのが現状です。早期に治すためには、医師に診断してもらい原因をさぐる必要があります。

4-2.傷口の治りが悪い場合には病院で検査しましょう

傷が治りにくい原因として、血流障害と神経障害の可能性が疑われます。病院で、血流障害チェック、神経障害チェックをしましょう。また、病院に行くまでの間、なるべく傷口にストレスがかからないように生活しましょう。病院での直接的な治療方法として、血流がよい場合と悪い場合で対処方法が異なります。

4-2-1.血流がよい場合

足の血流が良い場合には、「デブリードマン」という施術を行い、すでに壊死したような組織を取り除きます。荒行事のように思えますが、悪くなった組織を取り除くことで、細胞の再生を促すことができます。慢性的によくならなかった傷を急性的な傷に変え、体の持つ再生力を期待し、早期治癒を促すのです。

4-2-2.血流が悪い場合

血流が悪い場合は、まずは、血流改善を試みます。すなわち、外科的にバイパス術を行って血管をつないだり、カテーテルによる血管拡張術を行ったりします。血流が良くなったら、先に述べた「デブリードマン」を行い、早期の治癒を促すのです。

5.そもそも傷をつくらないために

糖尿病になると、「足に傷がつきやすくなる」あるいは「傷が治りにくい」ということがわかりました。では、そもそも傷を作らないことに注力することが、大きな対策になります。

5.1.靴下を履きましょう

小さな傷も作らないようにするため、外出時だけではなく、家の中においても常に靴下を履くようにしましょう。 汗をかいて靴下が湿った状態になると、靴擦れと同じように皮膚を傷つけてしまうことがあります。少しぬれているな、と思ったときには、清潔な乾いた靴下に履き替えましょう。

5-2.足にあった靴を買いましょう

靴はとても大切です。靴は安く買うこともできますが、足に合わない靴を履くことは、自分の足を傷つけることになります。専門の靴屋さんにいって、自分の足に合った靴を2足くらい購入することをお勧めします。毎日同じ靴を履いていると、靴も湿ってきたり傷んだりして、靴擦れの原因にもなります。2足を交互に履くことが靴にとっても足にとってもよいことなのです。

5-3.お風呂で足の傷をチェック

毎日のお風呂では、足を清潔に洗いましょう。その際に、簡単に足を洗うのではなく、しっかりと目で足に傷ができていないか、できものはできていないかなど確認しながら指の間まできれいに洗いましょう。そしてお風呂から出たら、保湿クリームを塗って皮膚を保護しましょう。

5-4.こういう人は特に注意して足を気遣いましょう

糖尿病であることに気がついたのが遅かったり、糖尿病と診断されても放置したりしていた方は、長期間にわたって血糖値のコントロールができていないことが多く、高血糖状態が続いていたと考えられます。そのため、神経障害や血流障害などの合併症の進行も早く、足の傷の問題も起こりやすいと言えます。

また、目が見えにくい、足に手が届かないという理由で、足にできた傷やタコや魚の目などの異常に気がつきにくい人、気づいても放置する人も、もちろん足の傷の問題も起こりやすいと言えます。ぜひ今日からは、しっかりと自分の足を観察しましょう。

6.まとめ

もっとも重要なことは、まずはよりよい血糖コントロールに努めることと自身の足に関心を持ち、日ごろから足をよく観察してケアを行い、異変に気が付いたら病院に相談することです。もし治りにくい傷ができてしまったならばかかりつけの主治医あるいは糖尿病専門外来を受診してみるのもよいでしょう。