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  • 2017/5/12

糖尿病患者が知っておくべき『易感染メカニズム」とは?

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糖尿病で本当に恐いのはそれ自体ではなく、糖尿病にかかることで引き起こされる合併症であることは一般に知られています。ですが、感染症をも引き起こしやすくなることはご存知でしょうか。感染症には一時的な風邪のような単純なものから、患部を壊死させてしまうような皮膚の感染症まで様々にあります。今回はそんな感染のメカニズムを知り、感染症にかからないように対策をしていきましょう。

1.糖尿病による易感染メカニズム

糖尿病になることで易感染(いかんせん)といわれる状態になり、感染症にかかりやすくなります。人の体ではウイルスや細菌との戦いが常に行われていますが、通常の状態では体に備わる防御機能が働き、それらを退治しています。

ですが、高血糖になると防御機能が低下するため、体内で侵入したウイルスや細菌が蔓延し、感染症を引き起こしてしまいます。では具体的に高血糖はどのように体に影響しているのでしょうか。

1-1.体の外側のバリアを弱らせる

感染から身を守るためには、まず細菌などの 外敵から身を守る強いバリアが重要です。体の表面であれば皮膚、また眼、鼻、気道、消化 管などであれば粘膜がバリアとなります。高血糖になることで、皮膚の代謝が障害されてしまいます。そのため、新しい皮膚への入れ替わりが遅れて皮膚は乾燥し、傷つきやすくなって しまいます。

また、バリアである粘膜を保護するもの、例えば目では涙、胃であれば胃酸などの 量も減少しているため、細菌にさらされやすくなります。このように糖尿病では、最初に 感染を防ぐための体の外側のバリアが弱くなってしまいます。

1-2.体の内側の機能が低下する

通常は外側のバリアを通過して、細菌などが体内に侵入すると、白血球が集まってきて細菌などを食べて しまうことで、殺菌し、感染を防いでいます。しかし、糖尿病患者の場合、高血糖により白血球の戦う力が低 下してしまい、細菌などを退治することができなくなってしまいます。

また体には、一度感染した細菌に対して、それに対抗する抗体を作り、次の感染に備える仕 組みがあります。高血糖状態は免疫に関係する細胞の働きも低下させるため、正常な免疫システムが保たれなくなります。 このように糖尿病患者は、体内で感染を防ぐ 働き全体が弱まり、感染しやすい状態 にあるのです。

1-3.感染場所に白血球が到達できなくなる

血糖値が高い状態が長く続くと、細い血管が傷み、細小血管障害といわれる血液の流れが悪い状態になります。細菌が感染した部分に血液が行き渡らないということは、細菌と戦う白血球が、細菌のいる場 所に届かないことになり、細菌がより繁殖しやすい状態になってしまいます。また、抗菌薬なども、感染した場所に到達しにくいということにもなります。

1-4.感覚が鈍化により処置が遅れ重症化する

糖尿病の三大合併症のひとつである神経障害がある場合、感覚が鈍っているために、傷や感染の発見が遅れることがしばしばあります。発見の遅れは、治療の開始時期の遅れにもつながり、感染症の重症化にも大きな影響をおよぼします。

下図は1-11.4を図式化したものです。高血糖により体に備わる1-11-2の機能が低下します。また、1-3のように白血球が傷口まで到達できません。さらに1-4.により悪循環となることが分かります。

2.糖尿病患者が特にかかりやすい4つの感染症

糖尿病患者は体の内外の防御機能全体が低下するので、どの感染症に対しても弱い状態になっています。その中でも特に糖尿病患者がかかりやすい感染症は4つあります。

2-1. 尿路感染症

尿路に病原体が侵入し、炎症を起り尿路感染症になります。主な原因となる菌は「大腸菌」で、尿路感染症の原因菌として8085%にも及びます。尿路感染症になることで、発熱、排尿時痛、頻尿などの症状が起こります。

水分を適度に摂取する、尿意を我慢しない、膀胱機能障害がある場合は、時間を決めて定期的にトイレに行くことで対処して必要があります。

2-2. 上気道炎・肺炎、結核

上気道炎とは鼻やのどの炎症で、いわゆるかぜのことです。かぜをこじらすと、気管支炎、肺炎を引き起こします。結核は、かつて長い間、死亡原因として1位でした。しかし現在では結核で亡くなる人は少なくなりましたが、患者数自体はあまり減ってはいません。

呼吸器や粘膜からの感染となるため、手洗いやうがいをすることで細菌やウイルスを近づけない、インフルエンザの時期は予防接種を受けるようにしましょう。

2-3. 歯周病

防御機能が低下することにより細菌に感染しやすい=歯周組織が歯周病菌(歯垢)に侵されやすいくなります。また、糖尿病になることで唾液の分泌量が減少し、細菌を洗い流す作用が弱くなります。この2点により糖尿病になると歯周病になりやすく、かつ治りにくくなってしまいます。

歯周病にならないためには毎日、歯をしっかり磨き、歯と歯の間は歯間ブラシや糸ようじを使って掃除すること、定期的に歯科を受診する必要があります。

2-4 皮膚感染症

皮膚感染症は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などが皮膚に感染し、腫れや赤み、発疹などの症状があらわれる病気全体を指します。皮膚は、つねに外界にさらされていますが、一番外側に角質層というバリアがあるので、通常であれば、細菌などに感染することはありません。しかし炎症や傷があると、皮膚の中に病原体が入りやすくなってしまいます。

対策はからだを清潔にしておくこと、毎日入浴すること、また、足の手入れを習慣づけ、小さな傷や水虫も早めに治療することが挙げられます。

3.感染症にかかってしまったら

糖尿病患者が糖尿病以外の病気になってしまった状態をシックデイといいます。シックデイになった場合には特別な対応が必要になります。感染症になってしまった場合も例外ではありません。対処方法を知り、適切に対応できるようにしていきましょう。

3-1. まずは早めに診察を受けましょう

シックデイになったときには、必ず主治医に連絡して指示を受けるようにしましょう。症状が強い場合には、すぐに医療機関に受診して対処してもらうことが重要になります。

3-2.十分な水分補給をとる

十分な水分をとって脱水に注意します。脱水は低血糖を助長しますので、特に発熱がみられるときには十分に水分をとりましょう。

3-3.運動は一時控えましょう

病気のときの運動は、心臓血管系や呼吸器系に多くの負担がかかりますので、運動療法は中止します。 ただ、病気の回復期に適度の運動をすると、完治するまでずっと安静にしているのに比べて治癒が早まります。医師の指示を受け、適切な時期に軽い運動から再開しましょう。

3-4.自己判断でインスリンを止めない

気になり、食事の量がいつもより少なくなったからといって、糖尿病の経口薬の服用やインスリン注射を、患者さん自身の判断で中止するのはとても危険です。

病気により血糖値が高くなっているのに加え、薬を中止することで血糖値が極端に高くなり、ケトーシス(血液の酸性化)が起き、昏睡に陥ることもあります。薬の量をどう調節するかは、あらかじめ主治医の指示「シックデイルール」を受けて、それに沿って判断します。

4.まとめ

高血糖になれば感染症にかかりやすくなり、血糖値が上がれば上がるほどより悪循環になります。日本国内でも感染症から引き起こされる壊死による足の切断の例が年間1万人にも及びます。感染症を防ぐにはまずは血糖コントロールが重要です。運動や食事療法は簡単ではありませんが、根気強く行っていきましょう。