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  • 2017/12/1

【糖尿病の診断基準ガイド】診断の根拠は何かを簡単解説!

糖尿病

『糖尿病、もしくは強い疑いのため再検査』こういった指摘を受けた方はとても不安に感じるかもしれませんね。再検査をする理由は『本当に糖尿病であるのか』を明確に判断することにあります。糖尿病の根拠となる基準値がいくつか示されていますが、その値を超えているからと言って、一概に糖尿病というわけではありません。医師は総合的な判断の下、診断を行うからです。

そこで、今回は『どのような経緯で糖尿病と診断されるのか』を基準値などを示しながら、できるだけ分かりやすく解説をしていきたいと思います。

1.糖尿病とは

糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎること、つまり血糖値が高くなってしまう病気です。通常であれば、ブドウ糖を細胞の中に取り込み、細胞はそれをエネルギーに変えて消費します。しかし、こういった糖の取り込みの仕組み(糖代謝)に異常をきたすことで、慢性的に血糖値が高くなってしまいます。

糖代謝の異常はすい臓から分泌される、血糖値を下げるホルモン『インスリン』の分泌の減少や機能の低下することにあります。その結果、高血糖が続き、糖尿病を発症させるのです。

1-1.4種類の糖尿病

糖尿病にはその発症の原因により『1型糖尿病』『2型糖尿病』『妊娠糖尿病』『その他の糖尿病』の4種類に分けられ、診断基準もそれぞれ異なります。

1型糖尿病

比較的若年で発症することが多いのが1型糖尿病です。『インスリン』を作るすい臓の、分泌の極端な減少やほぼ0になってしまうため、注射などによる外部から『インスリン』の補給を必要とします。

2型糖尿病

日本人の90%以上がこの2型糖尿病です。原因は様々ですが、肥満や食生活の乱れ、ストレスや喫煙の他、遺伝的要素もあります。これらによりインスリンの機能低下や分泌の減少が起こり、2型糖尿病を発症します。

妊娠糖尿病

妊娠中に血糖値が高くなったり、初めて血糖値の高い状態が発見されたりしたケースを「妊娠糖尿病」と言います。

その他の糖尿病

遺伝子異常や肝臓などほかの病気が原因で引き起こされるもので分類される糖尿病です。

2.糖尿病の診断基準

〈参考文献〉糖尿病GL-00.qxd/

糖尿病が診断される場合、大枠で判断基準となる数値があります。まずは上記に一覧を表示しました。

種類によって基準は変わりますが、糖尿病の90%以上と最も発症のケースが多い2型糖尿病の診断基準を見ていきます。もし、特段の指摘がない場合には、一般的に2型糖尿病を指します。

2-1.健康診断の結果で判断する

検査初回となる健康診断や定期検診で血液検査を行い、血糖値などの糖尿病に関わる値を見て、基準値を超えていた場合『糖尿病型』という分類であると判断されます。『糖尿病型』であった場合には糖尿病が確定、もしくは再検査となる2つのパターンがあります。再検査の場合、糖尿病の強い疑いがあるという判断であり、まだ確定というわけではありません。

初回検査時の『糖尿病型』の基準値

次のいずれかが基準値を超えていた場合には『糖尿病型』と判断されます。ただし、一方だけでは糖尿病の確定はしません。

  • ①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • ②HbA1C値(国際標準値)が6.5%以上
  • ※2012年3月以前はHbA1Cの日本の基準は6.1%とされていたが、現在は国際基準が一般化されています。

HbA1cとは

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)値とは、赤血球中のヘモグロビンのうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。普段から血糖値が高い人はHbA1c値も高くなりやすくなります。また、過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映して上下するため、血糖コントロール状態の目安として使われます。血糖値は直前の食事などに影響されるのに対し、HbA1c値は平均値であるため影響されません。

検査で糖尿病が確定するケース

初回検査のみで糖尿病が確定するパターンは2つあります。1つ目は上記の『糖尿病型』の基準値において、①と②が同時に当てはまる場合です。2つ目は糖尿病型に加え、『糖尿病の典型的症状』である喉の渇き、多飲、多尿、体重減少が見られた場合には医師の判断により再検査なしで糖尿病と診断されます。また過去の糖尿病がある場合も同様に診断されます。

2-2.再検査:『糖尿病型』の再確認

再検査は初回の検査から1ヶ月以内を目安に、もう一度糖尿病型かどうかの確認を行います。再検査では次の項目で糖尿病型かを判断し、いずれの検査方法を選択するかは各病院により異なります。①は初回検査と同様の値です。

再検査での『糖尿病型』の基準値

  • ①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • ②随時血糖値が200mg/dL以上
  • ③75gOGTTの2時間後の値が200mg/dL以上

随時血糖値とは

食事の時間に関係なく測定した血糖値を随時血糖値と言います。再検査時に病院から随時血糖値を計ってくるように言われるケースがあり、その際は合わせて食後何時間後に計測したのかを確認されます。

 

75gOGTTとは(コラム)

75gOGTT とは正式名称を75g経口ブドウ糖負荷試験といいます。この試験の目的はブドウ糖に反応してインスリンがしっかりと出ているか、またインスリンの量はどの程度出ているかを調べることで、糖尿病を引き起こす糖代謝異常があるかを知ることにあります。

試験の方法は検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血し、血糖値を測ります。次に、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測るという流れになります。

参考:Welby/75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは

2-3. HbA1C値だけでは糖尿病の確定はしない

HbA1C値の糖尿病型の基準は6.5%以上ですが、再検査においてこの条件だけを満たしていても糖尿病の確定となりません。再検査における確定はあくまで、血糖値による3つの基準値のみを対象としています。もし、再検査で血糖値に問題がなく、HbA1C値のみが糖尿病型と判断された場合、要観察となり数ヶ月後に再々検査を受けることになります。

2-4.再検査での正常型の診断

再検査で次の数値が確認された場合には正常型として、糖尿病ではないと確定されます。

  • 早朝空腹時血糖値110mg/dL未満
  • 75gOGTT2時間値140mg/dL未満

ただし、早朝空腹時血糖値が正常であっても、75gOGTT2時間値が180mg/dLの場合には糖尿病に悪化する危険があるため、境界型と同様の扱いとする、とされています。また、早朝空腹時血糖値において、100~110mg/dLの場合には『正常高値』とされ、OGTTを行うことが推奨されています。

2-4.再々検査:血糖値とHbA1cの検査

再検査において、糖尿病の確定がなく、かつ正常型以外の場合には要観察として、再々検査を再検査の3~6ヶ月後に行います。その際に改めて血糖値とHbA1cを計り糖尿病の判断をします。

3.まとめ

ご紹介したように糖尿病の基準値が示されていますが、1つの要素で決定されているわけではない、ということがお分かりいただけましたでしょうか?いくつかの条件と再検査により糖尿病の確定がなされています。糖尿病は悪化することで人工透析や足の切断にもつながる怖い病気です。血糖コントロールをして、早めに血糖値やHbA1cを下げるような対策をしていきましょう。