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  • 2017/12/26

筋トレで糖尿病を改善できる!!その根拠とは?そして効果的な方法は??

糖尿病

糖尿病の治療といえば食事療法が主にありますが、実は筋トレによって筋肉を増やすことも糖尿病改善の有効な手段なのです。ここでは、糖尿病を改善するための効率的な筋トレ方法を、糖尿病と筋肉の関係性を含めて説明していきます。

 

1 糖尿病改善における筋トレの効果

 糖尿病の大きな原因として肥満があげられます。つまり肥満を解消することで糖尿病の改善につながるということです。ここでは、そのメカニズムや効果について解説します。

 

1-1 筋肉量を増やし基礎代謝を高める

 体内で最も糖を代謝する部分は筋肉です。そのため、筋肉をつけてより多くの糖を代謝できるようにすることが大事なのです。

 

全身の基礎代謝のうち30%は骨格を動かす筋肉である骨格筋で代謝されています。つまり骨格筋量が増えれば、基礎代謝も上がるということです。基礎代謝が上がるということは、安静時にもより多くの脂肪が燃焼されるようになり太りにくい体になり、肥満解消につながります。

ちなみに、健常者では糖の約70%が骨格筋で消費されています。一方で2型糖尿病患者では全身の糖総利用量が、健常者の約半分になります。その原因は骨格筋での利用量が減るからなのです(図1.)。

 

図1 臓器・器官別の血糖取り込み量

骨格筋からみた糖尿病の病態と治療 (特集 臓器からみた糖尿病の病態と治療)参照

 

1-2 骨格筋での糖利用量がなぜ減るのか

 なぜ筋肉での糖利用量は減るのでしょうか。簡単にいうと肥満になると筋肉の糖を取り込む能力が低下しただけのことです。また糖の取り込み能力が低下するのは、肥満により分泌される物質が糖の取り込みを阻害しているためです。

 

図引用:首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域 運動分子生物学研究室

 

上記図は血糖が骨格筋細胞内に取り込まれる簡略図です。インスリンを細胞の膜状に存在するインスリン受容体が感受することでグルコーストランスポーター4(GLUT4)と呼ばれるタンパク質が骨格筋細胞の膜に移動します。そして、血糖はGLUT4を通って細胞内に運び込まれ、糖は代謝されます。しかし、肥満になるとこの一連の糖取り込みの機能が低下してしまいます。(原因は多くの場合肥満になることで分泌されるようになる物質が一連の流れを阻害しているケースが多いとされています)これを「インスリン抵抗性」を持つと言います。つまり、骨格筋で糖利用量が減るのは、このインスリン抵抗性によって骨格筋細胞内に取り込まれる糖が減ってしまったことに起因します。

 

 

1-3 肥満解消によるインスリン抵抗性の改善

 インスリン抵抗性とは、インスリンが正常に働かなくなった状態のことをいいます。つまりインスリン抵抗性を持ってしまうと、血中の糖の取込みが悪くなり血糖値が下がらなくなります。インスリン抵抗性の多くの原因は肥満により、脂肪細胞から分泌される腫瘍壊死因子などが情報伝達システムを阻害していることに起因しています。よって筋トレにより肥満を解消することで、インスリンが正常に働き、糖尿病改善にもつながります。

 

1-4 筋トレは糖尿病の予防にもなる 

筋トレは、糖尿病予防の意味でも重要になります。

実際にハーバード公衆衛生大学院の研究者らが一般内科専門誌に報告した試験結果によると、スクワットなど一般的な筋トレでも「単独」で2型糖尿病の発症リスクを下げることがわかったそうです。

ちなみにその試験では、およそ32000人の米国男性(年齢4075歳)を1990年から2008年にかけて追跡調査。糖尿病を発症した2278人について飲酒やテレビ視聴時間、糖尿病の家族歴などの影響因子を排除した上で、運動の効果を解析しています。その結果、全く何の運動もしない人の糖尿病発症リスクを1とすると、1

週間で合計1時間未満の筋トレを続けている男性は発症リスクが12%低下し、60~149分では25%、150分以上では 34%も糖尿病発症リスクが低下しました。

2 筋トレにより糖尿病を改善するのならば速筋から鍛える

 最近の研究で、運動後の速筋において、遅筋よりも肥満や糖尿病改善に繋がる物質が活性化するということが判明しました。

 

 詳しく言うと、京都大学の松田道行教授らの研究グループは細胞内エネルギーが不足すると活性化するAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinaseAMPK)という分子の活性を生体内でモニターし、運動によるAMPKの活性化を捉えることに成功した。その成果によると運動後の骨格筋でのAMPK活性は遅筋に比べ速筋で優位にAMPKが活性化されることがわかりました。

つまり、速筋から鍛えた方がより効率的に肥満・糖尿病改善につながるということです。

2−1 速筋を鍛える方法

 速筋とは筋肉の筋繊維の種類を指し、白筋とも呼ばれています。速筋は主に瞬間的な力・スピード、大きなパワーを生み出すことに優れた筋肉です。この速筋を鍛えるには短時間で高負荷のトレーニングを行うことです。そして速筋を鍛える上で重要なことは下記の4つです。

⑴1週間に2〜3日、6ヶ月間の継続を目指す。

⑵上・下肢や体幹など、大きな筋肉を用いて8〜10種類の運動を行う。

⑶「ややきつい」と感じる強さで10〜15回連続で行うことを1セットとし、休憩を挟み3セットを行う

⑷怪我を避けるため、頻度や強度は少しずつ増やす。

 

2−2 速筋を鍛える具体的なトレーニングプログラム

 ジムに行ってトレーニング機器を使用し筋トレするのも良いが、なかなかハードルが高いという人は多いと思います。そこで、家でもできる筋トレのトレーニングのプログラムをご紹介します。2-1で紹介した4つのことを意識しながら行ってください。

①スクワット

1、足は肩幅に開きつま先よりも膝が前に出ないように膝を曲げる

2、あまり前かがみにならないように行う

②かかと上げ

1、足を肩幅に開き、かかとを上げられる最も高い位置まで上げる

2、両足同時、もしくは片足ずつ

3、バランスが崩れないように前方の壁やテーブルに手をついて行う

③上体起こし

1、椅子に浅く座り、背もたれに寄り掛かる

2、手を使わずに身体を前に起こし、背もたれから背中を離す

④ももあげ

1、背もたれから、背中を離した状態で、両手で座面を支える

2、両足を地面から離す

3、難しい場合は背もたれにもたれたまま行う。

⑤上体あげ

1、座面を両手で支える

2、両手の力で座面からおしりが離れるように体を持ち上げる

3、難しい場合は足をついたまま行う 

⑥腕立て伏せ 

1、壁やテーブルに両手をついて腕立て伏せを行う。

2、体が前に傾く程きつい運動になるため、自分に合う高さで行う 

⑦横向きおしり上げ

1、横向きに寝た状態から腕で突っ張り上半身を持ち上げる

2、おしりを持ち上げ、腕・足で体を支え

3、おしりを持ち上げることが難しい場合は手で上半身をあげるだけでよい

⑧上下肢拳上運動

1、四つ這いの姿勢から、手足を上げる

2、体と平行な高さになるまで、挙がることが理想 

3、バランスが取れるようであれば対側の手足を同時に上げる 

 

3 ストレッチ・筋トレ・有酸素運動を組み合わせることで、より効率的に肥満解消

ストレッチ→筋トレ→有酸素運動の順番でトレーニングすることで相乗効果が生まれ、より効果的に脂肪を燃焼させることができます。この順番は非常に重要です。まずストレッチで筋肉をほぐすと全身の血の巡りが良くなり、次いで筋トレでは、体脂肪を分解するアドレナリンや成長ホルモンが大量に分泌され、体脂肪を分解してくれます。分解された体脂肪は血中を駆け巡り、その状態で脂肪燃焼効果がある有酸素運動を行えば、より多くの脂肪が燃焼されることになります。

4 筋トレと食事の関係

 筋トレの効果をより上げるためには、食事内容や食事タイミングなどが重要になります。

4-1 過不足なく栄養素を摂ることが重要です。

①主食(からだを動かすエネルギー源:ご飯、パン、麺類)

②主菜(筋肉や骨、血液の材料となる:肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品)

③副菜(体調を整えたり、骨や血液の材料となる:野菜、いも、きのこ、海藻)

④牛乳・乳製品(骨や歯を形成する)

⑤果物(エネルギー源となる、疲労回復に役立つ)

これら5つがそろった「基本的な食事の形」になるように注意し、特に以下の栄養素を意識的に摂るようにしましょう。

 

4-2 食事タイミング

4-2-1 筋トレ前の食事

筋トレを開始する2時間前を目安に済ませるようにしておきましょう。

基本的に、タンパク質、ビタミン・ミネラル、食物繊維、脂質の揃った食事をします。 炭水化物は抜かずに適量をとり、筋トレで力を十分に発揮するのに必要なエネルギーを補給しておきましょう。

 

4-2-2 筋トレ後の食事

筋トレ後の食事は、2回に分けて摂ることがおすすめです。 まず、筋トレ終了からだいたい30分以内を目安に、タンパク質を摂り、筋トレで傷ついた筋肉に素早くタンパク質を補給しましょう。ドリンクなどを利用するのも良いでしょう。もし、疲労が激しい場合はフルーツなどの糖質をプラスすることをおすすめします。

その後、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維・脂質の揃ったバランスの良い定食スタイルでの食事を摂り、体に必要な栄養をしっかりと摂るようにします。

4-2-3 プロテインを摂取し効果的に筋肉をつける

筋トレで筋肉をつけるには、筋肉の材料となるタンパク質が必要不可欠です。タンパク質は筋トレ後30分以内に摂取することがよいとされています。運動後30分間は、傷ついた筋肉の組織を修復するために栄養素を必要とし吸収率が高まるといわれています。このタイミングで、タンパク質を摂取することで、筋肉をより速く回復させ、より強くしてくれます。そのため、タンパク質であるプロテインを筋トレ後30分以内に摂取することは非常に効果的だと考えられます。

5 筋トレや運動を行う際の注意点

 間違った方法で筋トレや運動をしたり、無理をして体を壊しては元も子もありません。無理せず安全にトレーニングを行いましょう。

5−1 こんなときは筋トレをしない

⑴風邪、発熱

⑵血圧が高い

5−2 こんな症状が出たら中止しましょう

⑴頭が痛い、めまいがする

⑵冷や汗が出る

⑶吐き気がする

⑷動悸、息切れがする

⑸全身がだるい

⑹関節が痛い

⑺足がもつれる

6 まとめ

いかがでしたでしょうか。糖尿病改善では食事療法や有酸素運動をよく見かけますが、効果的に糖尿病を改善するためには筋トレも重要な役割があります。

しかし、オーバーワークには十分に気をつけなければなりません。折角、筋トレをするのであれば無理なく安全に筋トレを行いましょう。

筋トレを行った後はきちんと休むということも行いましょう。傷ついた筋肉は、休んでいる時に修復され、更に大きな筋肉へとなっていくので休息がとても重要になります。

そして最も大事なことは、継続するということです。無理せず自分のペースで筋トレを行っていきましょう。