健康野菜の王様といわれる玉ねぎを手作りドレッシングにしていただきましょう。さわやかな風味が肉料理や揚げ物の脂っこさをやわらげて食欲増進。そのうえ、血液・血管の健康にもうれしいパワーを発揮するスペシャルドレッシングです。
目次
1.そもそも「玉ねぎドレッシング」って何?
玉ねぎをザクザクッと切って、酢やオリーブオイルなどの調味料とともにミキサーにかけてピューレ状にすれば、玉ねぎドレッシングのできあがり。冷蔵庫で保存して、食事どきにお好みの料理にかけて食べます。
玉ねぎドレッシングはトンカツ、フライ、肉野菜炒めなど脂っこい料理にぴったりで、焼き魚に添えてもおいしくいただけます。血糖やコレステロールを管理するための食事療法とともに、ダイエットのサポートにも役立ってくれるでしょう。
2.玉ねぎドレッシングの健康効果とは?
玉ねぎの健康効果の主役となるのは、特有の香り・苦みをかもし出す複数のイオウ化合物と、黄色い色素成分であるケルセチン。さらに酢とオリーブオイルが加わることで効能が補強されます。
特に近年、オリーブオイルは体にいい油として評価がうなぎ上り。油というと太るもとでは?というイメージをくつがえして、豊富に含まれているオレイン酸やポリフェノールが健康増進に働くことが報告されています。
2-1.血糖値を安定させる
すい臓から分泌されるインスリンというホルモンは、血液中の糖を筋肉や内臓に運搬することで、血糖値を下げる働きをします。このインスリンの分泌を促し、さらに効き目を高めて、血糖値の安定をサポートすることが玉ねぎの大きな効用です。
玉ねぎに含まれているイオウ化合物のアリシンは、体内でアリチアミンという物質に変化して、インスリンの分泌を活性化させます。さらに、ケルセチンがインスリンの効き目を向上させて、糖が全身の細胞にスムーズに運ばれるように手助けするのです。
オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸という脂肪酸も、同様にインスリンの効き目を高めて、血糖の効率的な消費を促進します。また、酢に含まれている酢酸には、食後の血糖値の急上昇を抑制する作用があります。
血糖値の上昇がゆるやかになると、インスリンを急激かつ大量に分泌する必要がなくなるので、すい臓の疲労予防につながるというメリットがあります。
2-2.血中脂肪を安定させる
中性脂肪やコレステロールなど、血中脂肪の安定にも玉ねぎドレッシングの活用がおすすめです。玉ねぎに含まれるイオウ化合物の一種であるイソアリインは、食事で摂取した脂質の吸収をカット。同じくシクロアリインも中性脂肪の調節に働いてくれます。
さらに、血中のコレステロールのバランスを整えるのが、オリーブオイルに含まれるオレイン酸。血管壁に潜り込んで動脈硬化(血管の老化)の引き金となる悪玉コレステロールを減らす一方、善玉コレステロールを増やすという効能を発揮してくれます。
こうして血中脂肪の値が良好に維持されれば、健康の源となる血液のスムーズな流れと、血管の若々しさが保たれるようになるのです。
2-3.血圧を安定させる
血圧安定に注目されている玉ねぎの有効成分が、イオウ化合物であるイソアリインと酵素のアリナーゼです。これら二つの成分は空気に触れることで混ざり合って、チオスルフィネートという物質に変化します。
このチオスルフィネートの特長的な作用が、血液の流れを妨げる血栓(血液の固まり)を抑えること。それによって血液の流れがスムーズになると、血管壁に加わる圧力が下がって、血圧が整えられるのです。
また、玉ねぎに含まれるミネラルのカリウムは、血管内に水分を引き込んで血圧を高めるナトリウムの排出に働きます。血圧対策の基本である減塩を補助してくれるわけです。同時に血圧のコントロールに役立つのが、玉ねぎドレッシングに加える酢の作用。酢の主成分である酢酸は、血圧を上げるホルモンの作用を抑えて、血管を拡げて血液循環を促進するといわれています。
2-4.脂肪分解を促してダイエットをサポートする
野菜の中でも玉ねぎに特に豊富なケルセチンには、消化管での脂質の吸収を抑える作用があります。最近では、ケルセチンが脂肪分解酵素であるリパーゼの働きを活性化させて、内臓脂肪を減少させるという研究報告もあります。さらに、玉ねぎドレッシングの材料となる酢とオリーブオイルがダイエット作用を強力にサポートします。
酢に含まれる酢酸は、脂肪の合成を抑えつつ、脂肪分解すというダブルパワーを発揮。オリーブオイルに豊富なポリフェノールは交感神経を刺激して、脂肪のエネルギー消費を活性化します。同時に体の熱産生を高めることで、体の冷え取りにも働きかけるのです。
3.玉ねぎドレッシングの材料
玉ねぎドレッシングの風味づけに用いる香味野菜は、バジル、パセリなどのほか、好みでシソを入れると清涼感が増します。和風の味わいにするなら、しょう油を少々加えてもよいでしょう。
3-1.材料
・玉ねぎ……中1個
・オリーブオイル……大さじ3
・酢……大さじ1と1/2
・レモン汁……大さじ2
・ニンニク……1/2片
・バジルまたはパセリ……適宜
・塩、コショウ……適宜
3-2.オリーブオイルと酢を選ぶときのアドバイス
オリーブの果実を搾ってろ過しただけで、化学的処理が行われていないオイルをエクストラバージンオリーブオイルといいます。一方、オリーブ独特の香りや風味を調節して、口当たりよく精製したオイルがピュアオリーブオイルです。
どちらを選ぶかの目安として、オリーブに含まれるポリフェノールの健康作用を期待するのであれば、エクストラバージンオリーブオイルを用いるのがおすすめでしょう。酢は一般的な穀物酢でかまいませんが、熟成期間が長い黒酢には、血中脂肪の調整や疲労回復に働きかけるアミノ酸が豊富に含まれています。値段はやや高めになるものの、酸味がまろやかなので、料理本来の味わいをじゃましない点もメリットです。
4.玉ねぎドレッシングの作り方と食べる量
①玉ねぎの皮をむいて適当な大きさにざく切りにして、ミキサーに入れる。ニンニクもみじん切りにしてミキサーに入れる
②オリーブオイル、酢、レモン汁と、みじん切りにしたバジル(またはパセリ)をミキサーに入れる
③玉ねぎがドロドロのピューレ状になるまでかき混ぜる。味見をして、好みで塩・コショウを加える
④ビンやタッパーなど密封できる容器に入れて、食事どきに適量を料理にかけて食べる。1日大さじ4~5杯を食べるのが目安。冷蔵庫で保存して、4~5日間で食べ切ること
5.玉ねぎドレッシングのおいしい食べ方
玉ねぎドレッシングを保存している間に、オリーブオイルと水分が分離することがあります。そこで、使う前にいったんかき混ぜると、ドレッシングの風味が安定して、料理のおいしさを際立たせることができます。
どんな料理に用いるかはお好みですが、以下のメニューとの組み合わせは、玉ねぎドレッシングと好相性いえるでしょう。
5-1.豚肉料理に玉ねぎドレッシング
玉ねぎに含まれるイオウ化合物の一種のアリシンは、体内でアリチアミンという物質に変化して、ビタミンB1の吸収を助けます。食事で摂取した糖質をエネルギーに変換して、筋肉や脳の活力を充実させるのがビタミンB1の主な効用です。
このビタミンB1を豊富に含む食材としては、代表格といえるのが豚肉。そこで、豚肉のソテーやショウガ焼きに玉ねぎドレッシングを添えることで、ビタミンB1が体内で効率よく活用されて、心身の疲労回復に役立ってくれます。
5-2.揚げ物料理に玉ねぎドレッシング
サクサクとおいしいフライやカツは、衣の材料である小麦粉やパン粉に糖質が多く含まれていることが難点。そのため、焼くだけ・炒めるだけの料理よりも血糖値が上がりやすくなるのです。
この問題を解決してくれるのが玉ねぎドレッシングで、糖質の消化吸収をゆっくりにしたり、インスリンの効き目を高める作用によって、食後の血糖値の急上昇を抑えてくれます。揚げ物の油っこさをやわらげて、食を進ませてくれることもうれしいポイントです。
5-3.焼き魚に玉ねぎドレッシング
アジ、サンマ、サバなどいわゆる青背の魚には、DHA・EPAという脂肪酸が豊富に含まれています。DHA・EPAの大きな効能といえば、血管をしなやかにしつつ、コレステロールや血栓を抑えて血流をスムーズに促すということ。つまり、玉ねぎドレッシングと似通った働きをするわけです。
焼き魚の薬味といえば大根おろしが定番ですが、これを玉ねぎドレッシングに置き換えることで、血管・血液の健康維持に相乗的な働きが期待できるでしょう。
5-4.パスタ料理に玉ねぎドレッシング
ミートソース、ナポリタン、ペペロンチーノなどのパスタ料理は、材料の品数が少なく、単品ではどうしても野菜不足になるもの。パスタは糖質が多く、食後血糖値を上げやすい点も気になるところです。
そこでおすすめなのが、適量の玉ねぎドレッシングをかけて、麺にからめながら食べること。玉ねぎとともにニンニクの風味がおいしさを引き立てて、野菜不足の解消に役立ちます。お酢の酢酸の働きによって、食後血糖値の上昇がゆるやかになることも、もちろん見逃せないメリットです。
6.まとめ
糖質の摂り過ぎが心配、油っこい料理が胃に負担という方に、うれしい効能を発揮してくれる玉ねぎドレッシング。材料は一年中、身近で入手できるものばかりで、作り方もパパッと簡単です。冷蔵庫に常備して食事どきに活用すれば、料理のおいしさアップと健康増進の味方となってくれるでしょう。
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