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  • 2018/10/20

血糖・悪玉コレステロールを整えお通じもスムーズにする「米ぬか茶」

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私たちがふだん食べているお米は、玄米の表面をけずり取った精白米。しかし、お米本来の栄養の90%以上は、けずり取られた胚芽と表皮、すなわち米ぬかに含まれているのです。これを健康増進に活用しないのはもったいないこと。

特に毎日、緑茶や紅茶を飲む習慣がある人なら、ぜひお試しいただきたいのが米ぬか茶。手軽に作っておいしく飲むうちに、お米の真のパワーが全身に行き渡っていきます。

 1.「米ぬか茶」っていったい何?

スーパーなどで購入した米ぬかを軽く炒って「炒りぬか」にして、それをお茶っ葉がわりに用いるのが米ぬか茶。ふだん飲むお茶として、食事どきやおやつどき、仕事の合間などにいただきます。香ばしさが絶品で、飲めばほっこり落ち着くと愛飲者からは大好評です。

血糖・コレステロールなどを安定させたり、お通じを良好にするなど、うれしい効能もさまざま期待できるお茶といえます。

 2.米ぬか茶の健康効果とは?

 米ぬかにはビタミンやミネラルが豊富で、さらに米ぬかならではの有用成分も数々含まれています。「健康診断の検査数値が心配だ「お腹の調子がいまひとつ」といった方は要注目。最近では、米ぬかが脳の機能を維持する作用も話題になっています。

2-1.血糖値を安定させる

食後に高くなった血糖値を安定させるには、インスリンというホルモンの働きが不可欠。インスリンは血糖を筋肉や内臓の細胞に運ぶことで、血糖値を下げる役割があります。

逆にインスリンの働きが悪くなると、血糖がスムーズに処理できなくなり、血液が糖であふれ返ってしまうのです。こうした血液の砂糖水状態を防ぐために働くのが、米ぬかの脂質に含まれているγ‐オリザノールという成分です。

γ‐オリザノールはポリフェノールの一種で、アディポネクチンというホルモンの分泌を高めることがわかっています。アディポネクチンは脂肪の分解に働くとともに、インスリンの働きを向上させて、血糖が効率的に処理されるように促進。血糖値の安定をサポートします。

特に肥満になるとアディポネクチンの分泌が鈍るといわれており、太っているうえに糖が高いという人には、米ぬかのγ‐オリザノールの効能はありがたいといえます。

2-2.悪玉コレステロールを安定させる

悪玉コレステロールがやっかいなのは、血管壁にもぐりこんでゴミとなって蓄積し、血管の弾力や強度を低下させてしまうこと。それによって血管の老化が進んでしまうのです。

そこで頼りになるのが、やはり米ぬかに豊富なγ‐オリザノールの力。γ‐オリザノールは血管を拡げて血行を促進しつつ、余った悪玉コレステロールを回収して肝臓に運ぶ善玉コレステロールを増やします。

また、米ぬかは食事に含まれるコレステロールの吸収そのものを防ぐ、という報告もあります。こうして血液中のコレステロールのバランスが整えば、血管の若々しいしなやかさが維持されることに。脳や心臓の血管の詰まり・破裂など、大病を防ぐうえで役立つといえます。 

2-3.血圧を安定させる

血圧の上昇・下降の調節を担っているのが、体内の自律神経です。自律神経のうち、朝の目覚めとともに体を活動状態にする交感神経が働くと、血圧は上昇していきます。夜になると、反対に体を休息状態にする副交感神経が働いて、血圧がおだやかに下がります。

しかし、日中のストレスや緊張が激しいために、夜になっても交感神経が高ぶっていると、副交感神経への切り替えがうまくできません。そうなると血圧もしっかりと下がりきらないのです。

米ぬかに含まれているポリフェノールであるフェルラ酸は、この自律神経の乱れを整えます。副交感神経を刺激するアセチルコリンという物質の分泌が、フェルラ酸によって促されるのです。

その結果、副交感神経が優位に働くと血管の収縮が解消されて、柔らかく拡張していくことに。必然的に血液の流れがスムーズになり、血圧も整えられていくのです。

2-4.脳の機能を維持する

高齢社会が進むにつれて、深刻な健康問題となっているのが脳の機能の衰えです。脳の活性化に役立つ食品について、現在さまざまな研究が行われていますが、とりわけ有望といわれているのが米ぬかです。

米ぬかの脳活性作用の主役となるのは、先の血圧の項目でも述べたフェルラ酸です。フェルラ酸には脳の神経を保護して、炎症を抑える作用があるといわれています。それによって、脳の機能に影響を与えるβアミロイドという老廃物の蓄積を防ぐのです。

実際に脳の認知機能が低下した人を対象とした試験では、フェルラ酸の摂取によって認知機能検査の得点が上がったり、症状が抑制・改善されたことが明らかになっています。

2-5.腸の活動を促す

米ぬかに含まれている水溶性食物繊維は、快適なお通じの味方になります。水溶性とはすなわち、水に溶けて粘着性を持つ性質があるということ。それによって、腸内で老廃物や余分なコレステロールを吸着して便に含ませます。血圧上昇の誘因になるナトリウムも、水溶性食物繊維によってからめ取られます。

さらに、米ぬかの水溶性食物繊維の特徴としては、便の水分量を増やして排せつしやすくする、腸内で発酵して善玉菌であるビフィズス菌を増やすなど。腸の正常な活動にとって、断然いいことばかりです。

 3.米ぬか茶の作り方と飲み方

米ぬかは米店やスーパーで手軽かつ安価に入手できます。米店の「生ぬか」もスーパーの食用の「いりぬか」も、自宅で炒ってからお茶にしましょう。

 3-1.米ぬかの炒り方

  • フライパンに米ぬか100g程度を入れる(油は引かない)。
  • ゆっくりかき混ぜて、ダマをつぶしながら弱火で炒る
  • 5分ほど炒って、米ぬかがキツネ色になって香ばしい匂いがしてきたら火を止める
  • 冷まして粗熱を取ったら、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存する。保存期間の目安は1週間

 3-2.米ぬか茶の飲み方

  • 炒った米ぬかを市販のティーバッグに詰めてポットに入れる
  • 静かに熱湯をそそいで(ティーバッグ2個で1リットルが目安)、色が十分に出てきたらできあがり
  • 食事やおやつの時間、仕事や家事の合間などに、ふだんのお茶がわりに飲む。冷やして飲んでもおいしい

 4.米ぬかのアレンジ活用術

米ぬかを多めに炒ったら、ふだんの料理やおやつなどにもぜひ活用してみましょう。自然な香ばしさとアミノ酸のうま味がプラスされて、おいしくヘルシーなメニューに早変わりします。1日に食べる米ぬかの量としては、大さじ1~3杯を目安にします。

 4-1.ご飯のおかずに混ぜる

ご家庭でハンバーグや餃子を作るときに、炒った米ぬかを具に混ぜ込んで使いましょう。カレーの場合は、そのまま鍋に入れて煮込みます。トンカツなどの揚げものなら、パン粉に混ぜて衣にするのもアイデアです。

おかずに米ぬかを活用すれば、主食は精白米であっても、お米本来の栄養をまんべんなく補給できることになります。

 4-2.ふりかけにする

炒ったシラスと米ぬかを混ぜて、好みで塩、ゴマ、サクラエビ、きざんだ海苔などを加えてふりかけにしていただきます。玄米はおいしく炊くのは難しいものですが、ふりかけにすれば精白米でも米ぬかの栄養を逃さず摂れます。ふりかけをご飯に混ぜて、おにぎりにするのもいいでしょう。

 4-3.ドレッシングに加える

サラダを食べるときに使っている市販のドレッシングに米ぬかを混ぜるか、手作りドレッシングの材料にします。炒った米ぬか適量に、酢大さじ1、オリーブオイル大さじ2、塩少々を混ぜれば、米ぬかドレッシングのできあがり。材料の分量は好みで調節しましょう。

 4-4.ヨーグルトにトッピングする

お互いの健康パワーを高める組み合わせで、風味の相性がいいのが米ぬかとヨーグルト。腸内の善玉菌を増やして、便通を促進するうえで強力なコンビです。ヨーグルトは無糖のものでも、米ぬかのほのかな甘みでおいしくいただけます。ヨーグルト200gに対して、米ぬか大さじ1程度をトッピングするのが目安です。

  5.まとめ

お米は日本人にとって一番身近な健康食材でありながら、その栄養のほとんどを摂れずにいるのが実情。手軽に作れる米ぬか茶で、その貴重な効能を取り入れましょう。おいしく飲むうちに、便がすんなり出る、ドッサリ出るといった実感がまずあれば、米ぬかパワーが体内で発揮されてきている証拠です。

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