• 中性脂肪
  • 2017/9/22

トリグリセリドとは何か?体への作用は?そのメカニズムとは?

中性脂肪

健康診断や人間ドックを受けると、『中性脂肪(TG)』の項目が引っかかってしまったという中で、このTGが何かはご存知でしょうか?「TG」とは、トリグリセリドのことです。しかし名前は聞いたことがあっても、具体的にどのようなものなのかわからない人が多いと思います。

このトリグリセリド、中性脂肪と全くの同義のように使われることが多くありますが、実際は少しだけ違います。そこでトリグリセリドとは何なのか?中性脂肪との違いは何か?どういった役割をするのかをご紹介していきます。

1.トリグリセリドとは

トリグリセリドは英語で表記するとTriglyceridesで、そこからの呼び方で日本語ではトリグリセライドとも呼ばれます。トリグリセリドは中性脂肪の主成分の一種で、中性脂肪と同じように使われます。しかし、実は中性脂肪は3種に分類でき、その3種のうちの1つがトリグリセリドなのです。ここに中性脂肪とトリグリセリドの違いがあります。

中性脂肪3種のうちの1つがトリグリセリド

トリグリセリドとは、グリセロールという物質に脂肪酸が結びついた(エステル結合した)呼び方であり、トリグリセリドは3つの脂肪酸が結びついたパターンとなります。

中性脂肪にはこれ以外に、モノグリセリド(1つの脂肪酸が結びついている)、ジグリセリド(2つの脂肪酸が結びついている)などがあります。どれも中性脂肪に該当するのですが、トリグリセリドという3つの脂肪酸が結合しているタイプが9割以上を占めるため、そのままトリグリセリドが中性脂肪の意味で使われることが一般的です。

 

2.トリグリセリドに関わる病気

健康診断などでトリグリセリドの値が高いと様々な病気の原因になります。値血中のコレステロールやトリグリセリド(中性脂肪)が増加する状態を脂質異常症(高脂血症)といいます。その脂質異常症のなかでも、トリグリセリド(中性脂肪)が多いタイプを高トリグリセライド血症といいますが、コレステロール値のように、中性脂肪も数値が高い場合では健康に影響を及ぼし、さまざまな病気を引き起こします。高トリグリセライド血症の基準は次の通りです。この値を超えている場合には病気の可能性が高まります。

高トリグリセリド血症・・・・・トリグリセリド血症(中性脂肪)150mg/dl以上

このトリグリセリド血症が引き起こす主な病気を見ていきます。

動脈硬化

高トリグリセライド血症では、中性脂肪値が高いことによって、エネルギーに変換されない中性脂肪が溜まっていきます。悪玉コレステロールが増えやすいこの状況では、悪玉コレステロールのなかでも小型の粒子である超悪玉コレステロールが増え、動脈硬化の進行を早めてしまいます。

糖尿病

高トリグリセリド血症では、ブドウ糖をエネルギーに変換するインスリンの効きが悪くなることから、血糖値が下がりにくくなってしまい、糖尿病につながることもあります。糖尿病は体のさまざまな器官に影響を及ぼし、多くの合併症を引き起こす恐ろしい病気です。

3.トリグリセリドの消化吸収の仕組み

トリグリセリドは脂質の1種であり、脂質は食品から摂取されます。脂質には上記の図の通り、いくつかの種類に分かれますが、食品に含まれる脂質の90%以上は中性脂肪(トリグリセリド)で、そのほかにはコレステロール、リン脂質などがあります。

摂取されたトリグリセリドは一度体内で分解され、再構築されます。その後、血液を経て全身へと運ばれていきます。ではこの体内で行われている消化吸収の仕組みを詳しく見ていきましょう。

溶けにくい脂質を溶けやすくする

脂質は基本的には水に溶けにくい成分であるため、体内で分解・吸収するために溶けやすくする必要があります。そこで、まず脂質は十二指腸にある胆のうから分泌された胆汁酸によって乳化という作業を行います。

この乳化のわかりやすい例はマヨネーズです。マヨネーズの材料は酢と油と卵です。酢と油はドレッシングと同じですが、そこに卵が加わることによって水と酢は分離せずに混ざり合ったままです。この卵のような役割を果たす物質のことを「乳化剤」といいます。体内では胆汁がこの乳化剤の役割を担います。

各消化酵素が脂質を分解する

そして分解されやすい形になった脂質は、膵液に含まれる様々な酵素によって分解されていきます。補足ですが、下記にあるコレステロールエステルとは脂肪酸とコレステロールが結びついたもので、前述の誘導脂質の一群です。

最終的に各種脂質は、小腸の吸収上皮細胞で吸収されるようになるために水に溶けやすい形を形成します。それがミセルと呼ばれるものです。体内では、水(体液)と油(脂質)の仲介をしてくれる物質が必要です。その仲介役となる物質が、リン脂質をはじめとする両親媒性の物質です。両親媒性物資は、疎水部分を脂質のほうに向けてこれを球状に取り囲み、親水部分を表面に向けて水溶性を高めていきます。これがミセル形成です。

各脂質が再合成される

膵液の様々な酵素によって分解された脂質はミセルを形成しそれぞれ吸収されます。そして、それぞれの脂質の多くは吸収後すぐに再び元の形に合成されます。しかし、これらは脂質のため、やはりそのまま全身に運ばれることはできません。水に溶ける成分であれば、糖質のように血管→肝臓→全身と運ばれますが、水に溶けない脂質は血管に入ることはできません。そのため、異なったルートを通ります。

水に溶ける糖質などは血管に入り門脈を経て肝臓そして全身という流れですが、脂質はリンパ管を経由して全身に運ばれていきます。そのリンパ管に入る際に、カイロミクロン(キロミクロン)というたんぱく質の粒子を作ります。中性脂肪、コレステロール、リン脂質、脂溶性ビタミンなどはこのカイロミクロンに取り込まれます。そしてリンパ管を経由して血液に入り全身へ運ばれるのです。このカイロミクロンは水に溶け、リンパ液・血液の両方となじむことが出来るのでこういったシステムが可能になります。

リンパ管を通らない吸収もある

これまでは全て最終的にはリンパ管に入りリンパ管を経由して血液に入る脂質の消化と吸収を説明していきましたが、一部例外である吸収過程を持つ脂質があります。トリアシルグリセロール(中性脂肪)はグリセロール(グリセリン)に3つ脂肪酸が合わさったものでした。

ですが、このトリアシルグリセロール(中性脂肪)にくっついた脂肪酸が中鎖脂肪酸の場合、リンパ管には入らず糖質と同じように門脈経由で肝臓に運ばれるのです。通常トリアシルグリセロール(中性脂肪)を構成する脂肪酸は長鎖脂肪酸といって脂肪酸を構成する炭素の鎖が長いものが主です。

しかし、その脂肪酸を構成する炭素の鎖の長さが少し短い中鎖脂肪酸というものについてはリンパ管を介ささず吸収されます。脂肪酸の多くは長い鎖脂肪酸ですが、ココナッツオイル、パーム油、牛乳などの一部に中鎖脂肪酸が含まれています。

4.トリグリセリドを下げるため習慣

ではどのようにしてトリグリセリドを減らしていけばよいのでしょうか。ポイントは普段の生活習慣にあります。

3-1.食事は腹八分目に

慢性的な食べすぎによってエネルギーが余ると、中性脂肪となってどんどん蓄積されていきます。肥満を防ぐためにも、腹八分目にしましょう。

  • ゆっくり食べるクセをつける
  • ひと口ごとによく噛んで食べる

3-2.アルコールを飲みすぎない

適量のアルコールには、善玉(HDL)コレステロールを増やす効果があります。ところが飲みすぎると、今度は中性脂肪を増やす原因となります。適量とは、1日当たりビールなら大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までのことです。

アルコールそのものにカロリーがあるうえ、つまみなどで揚げ物などを食べると、カロリー・オーバーの原因にもなります。目安はビール大瓶1本程度、日本酒なら1合、ワインなら2杯程度を目安にしましょう。

3-3.適度な運動をする

中性脂肪の中でも、さまざまな生活習慣病の原因となる内臓脂肪は、運動によって減らすことができます。ウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、軽めのジョギング、エアロバイクなどの有酸素運動で、中性脂肪を効率よく減らしましょう。1日10〜15分程度の運動でもいいので、1日1~2回、週に4日程度は続けることが大切です。

3-4.夜間はあまり食べない

夜間はからだをあまり動かさないため、エネルギー消費量が少なくなり、食べたものが中性脂肪になりやすい傾向があります。夜間に仕事をする人以外は、夕食のカロリーはひかえめにし、寝る前の夜食は食べないようにしましょう。

4.まとめ

トリグリセリドについておわかりいただけたでしょうか。トリグリセリドは食事から摂取する脂質の大半を占めるので、とても身近な存在なので、その仕組みについて知るようにしましょう。