• その他
  • 2018/4/12

血糖値、血圧の安定をサポートする健康メニューの決定版「酢玉ねぎ」

その他

血糖値が高いと検診で注意された、血圧や中性脂肪がなかなか下がらない……そんな方にぜひおすすめなのが、手軽に作れて健康効果満点の「酢玉ねぎ」。食事療法のひとつとして毎日食べれば、検査数値の安定に力強い味方となります。

 1.そもそも「酢玉ねぎ」って何?

スーパーや八百屋さんで売っているごく普通の玉ねぎを薄切りにして、お酢に漬けて2~3日置けば、酢玉ねぎのできあがり。これを漬け物がわりや、おかずのトッピングにして食べればよいのです。自ら手作りして食べるとともに、血糖値や血圧が高い患者の食事療法として推奨している医師もいます。

もともと、玉ねぎとお酢はそれぞれ健康効果が高いうえ、一緒に食べると相性が抜群。互いの作用を高め合ったり、足りない部分を補うことで、血液や血管のトラブルを撃退します。

 2.酢玉ねぎの健康効果とは?

玉ねぎにはツンとした臭いや辛みの成分である硫化アリルが複数含まれており、それぞれが独特の作用を発揮します。そのほか、黄色い色素であるケルセチン、タンパク質のもとであるアミノ酸、オリゴ糖なども玉ねぎパワーの源です。こうした有効成分に、お酢の酸味や臭いのもとである酢酸が加わることで、次のような健康効果をもたらします。 

2-1.血糖値が安定する

玉ねぎに含まれる硫化アリルの一種であるアリシンは、体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンという成分に変化します。 このアリチアミンが血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌を活性化させます。さらに、お酢の酢酸には食後の血糖値の上昇を遅くする作用があり、それによってインスリンが効率よく働いて血糖値を下げます。

2-2.血圧が安定する

玉ねぎに含まれる硫化アリルのイソアリインと酵素のアリナーゼは、玉ねぎの実が空気に触れると混ざり合って、チオスルフィネートという成分に変化します。チオスルフィネートは血管を詰まらせる血栓(血液の小さな固まり)をできにくくして、血液の流れをサラサラにします。それによって、血圧が安定すると考えられています。また、お酢の酢酸は血管内の細胞から、血管を拡張させるNО(一酸化窒素)というガスの分泌を促すという報告があります。そうなれば、玉ねぎの血液サラサラ+血圧安定効果がますます強化されます。 

2-3.中性脂肪、コレステロールが安定する

玉ねぎのイソアリインは、食事で摂取した脂質の吸収を抑えて、中性脂肪やコレステロールなど血中脂質のもとをカットします。同じく硫化アリルのシクロアリインは、中性脂肪の正常化に働くほか、血栓を溶かす作用もあります。同時にお酢の酢酸は脂質のエネルギー代謝を促進して、中性脂肪やコレステロールの増加を抑えてくれます。 

2-4.血管年齢が若返る

玉ねぎの黄色い色素であるケルセチンには、血管年齢を若返らせる作用があることが報告されています。

血管の弾力や強度を維持する血管内皮機能(血液と接している血管の一番内側の細胞の働き)を改善して、血液の詰まりや動脈硬化を予防するのです。広島大学などの研究によれば、健康な人がケルセチンを含む玉ねぎエキスを1カ月間摂取したところ、血管年齢が10~20歳も若返ったことがわかりました。

2-5.肥満、むくみが解消する

先にご紹介した玉ねぎ特有のケルセチンやチオスルフィネートには、脂肪を分解してエネルギーに変える代謝促進作用があります。お酢も同様に糖や脂質のエネルギー代謝を促すことから、Wパワーで内臓脂肪を減らして、肥満脱出をサポートしてくれるのです。そのほか、玉ねぎに豊富なシクロアリインは体内の水分の巡りを活性化させるといわれています。

尿や汗を盛んに出して、体内の老廃物の排出を促してくれるのです。そのため、水分代謝が停滞している証しである、顔・お腹・足のむくみ解消にも酢玉ねぎを食べることがおすすめです。

2-6.便通が改善する

玉ねぎに含まれている水溶性食物繊維と、甘みのもとであるオリゴ糖、さらにお酢に含まれているグルコン酸は、いずれも腸内の善玉細菌のエサとなります。ビフィズス菌などの善玉細菌が増えると、腸の活動が盛んになって便通がスムーズに改善。悪玉菌が作り出す腐敗物質もたまりにくくなります。そのほか、お酢の短鎖脂肪酸には腸粘膜の機能を保護する作用があることも報告されており、酢玉ねぎは腸内環境の改善にも最適の一品なのです。 

3.酢玉ねぎの材料と作り方

誰でもごく簡単にパパッと作れる酢玉ねぎ。ただし、効能を高めつつおいしく作るにはいくつかポイントがあります。

3-1.材料

・玉ねぎ……中3個(小さい玉ねぎなら5個)

・お酢……保存容器の大きさに合わせて、玉ねぎがひたる量(一般的な穀物酢、米酢でよい)

・塩……少々

3-2.作り方

①玉ねぎの皮をむいて、半分に切る。線維にそって薄くスライスする

②スライスした玉ねぎをザルに移して、塩をふりかけて軽く混ぜる

★ここがポイント!

玉ねぎに塩を振ることで余分な水分が出ると、お酢の成分が浸透しやすくなります。

③ザルにあけた玉ねぎをそのまま20~30分置いて空気にさらす

★ここがポイント!

20~30分空気にさらすと、玉ねぎの血液サラサラ成分であるチオスルフィネートが増えます。

④塩を水道水で軽く洗い流し、ペーパータオルで水気を拭き取ったら、保存用の密閉できるガラス製の広口ビンに入れる。

⑤玉ネギ全体がひたるまで酢をそそぎ入れる。ビンのフタを閉めて冷蔵庫で保存する

★ここがポイント!

お酢とともにハチミツを加えると味がまろやかになって食べやすくなります。ただし、糖分の摂り過ぎを防ぐため、大さじ1杯程度に控えましょう。

⑥2日ほど置けば完成。冷蔵庫で保存して、10日ほどで食べきる。

4.酢玉ねぎの食べ方

漬け物がわりにパクパク食べられる酢玉ねぎ。そのまま食べるのはもちろん、ほかの料理と組み合わせて食べることで、血糖値・血圧の安定作用がさらに補強されます。

4-1.基本の食べ方

しょう油の受け皿1杯分の量の酢玉ねぎを、3度の食事どきに食べます。食前など空腹時に食べると、お酢の酸味で胃の粘膜が荒れてしまう可能性があるので、食事と一緒に食べるようにします。1日に食べる量は50g程度(小さい玉ねぎ1/2個分)が目安です。 

4-2.おいしくてさらに健康効果がアップする食べ方

酢玉ねぎ+豚肉料理

玉ねぎに豊富な硫化アリルであるアリシンは、豚肉に含まれるビタミンB1の吸収を高めます。ビタミンB1は血糖のエネルギー代謝を活性化させて、血糖値を安定させるとともに、体力増強や疲労回復に働きます。生姜焼き、しゃぶしゃぶなどの豚肉料理のつけ合わせにはぜひ酢玉ねぎを。

酢玉ねぎ+サーモン

サーモンマリネに酢がたっぷりしみこんだ酢玉ねぎを用いれば、おいしさアップとともに血管の老化防止に最適。サーモンのピンク色の色素であるアスタキサンチンには、血管を老化させる活性酸素(血管の細胞を傷つける攻撃性の強い酸素)を除去する抗酸化作用があります。玉ねぎの色素のケルセチンとの相乗効果で、血管の若さ保持に役立ってくれます。

酢玉ねぎ+納豆

納豆の薬味がわりとして、酢玉ねぎを細かく刻んで乗せましょう。納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素には、血管を詰まらせる血栓を溶かす作用があります。同じく血栓を防ぐ酢玉ねぎと一緒に食べれば、血液サラサラ効果がさらに期待できます。

酢玉ねぎ+キムチ

キムチを漬け込むトウガラシには、カプサイシンという辛み成分が含まれています。カプサイシンには毛細血管の血流を促して、エネルギー代謝を高める作用があり、これは酢玉ねぎの効能とよく似通っています。そこで、刻んだ酢玉ねぎをキムチと混ぜて食べれば、お互いの健康パワーが全面的に強化されることに。キムチの辛さがほどよくやわらいで、食べやすくもなります。

5.ちょっと高価だけど効能豊かな「高級酢玉ねぎ」を作ってみよう

一般のスーパーで売っている安価な材料だけで作れるのが酢玉ねぎの魅力。さらにひと工夫しておいしさアップと効能増強を目指すなら、少しぜいたくな材料を使って「高級酢玉ねぎ」を作ってみましょう。

5-1.内臓脂肪の蓄積を防ぐ「リンゴ酢玉ねぎ」

米酢、穀物酢のかわりにリンゴ酢を使って玉ねぎを漬けます。リンゴ果汁を主原料とするリンゴ酢には、リンゴ果実の甘酸っぱさが残っていて、一般的なお酢よりも酸味の刺激が気になりません。血液中の中性脂肪の増加を抑えたり、内臓脂肪の蓄積を防ぐリンゴポリフェノールが摂取できることも大きなメリットです。

5-2.血液サラサラ効果の高い「黒酢玉ねぎ」

米酢、穀物酢のかわりに黒酢を使って玉ねぎを漬けます。玄米または大麦を原料に、長期間の発酵・熟成をへて作られる黒酢は、体の新陳代謝を促すアミノ酸が一般的なお酢よりも豊富に含まれています。赤血球の弾力を高めて、毛細血管をスムーズに通りやすくする血液サラサラ効果も、黒酢ならではの特徴として注目されています。

5-3.血管の老化防止に頼れる「酢紫玉ねぎ」

お酢に漬ける玉ねぎとして、紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)を用います。サラダなどでおなじみの紫玉ねぎには、アントシアニンという色素が豊富に含まれています。アントシアニンは血管の老化を防ぐ抗酸化作用が強力であるほか、インスリンの効き目を高めて、血糖値の安定を促す作用があることも報告されています。 

6.まとめ

血糖値、血圧、中性脂肪など検診で要注意を指摘されたときに、食事療法のサポート役としてぜひ活用したい酢玉ねぎ。冷蔵庫に常備して毎日継続して食べることで、検査数値を正常レベルへと導いてくれます。肥満、便秘、慢性疲労などの改善にも役立つ、万能的な手作り健康メニューです

SNSで最新情報をチェック