最近、健康診断で中性脂肪の値が基準値を超えて健康指導が入り、「まあー仕方がないか、俺も歳だし・・・」と気にもとめない人は要注意です。中性脂肪は放っておくと歳をとるにつれて、健康被害の原因に繋がります。中性脂肪の正体を知り、健康診断で中性脂肪の値が基準になるように下げる方法をお教えします。
1.健康診断で指摘される中性脂肪って何?
1-1:中性脂肪は体に溜め込んだエネルギーの定期貯金です。
中性脂肪は別名「トリグリセリド」と言い、「中性脂質」「リン脂質」「糖脂質」「ステロイド」の4種類の脂質の一種です。中性脂肪の役割は食事量が減ったりしてエネルギーが不足したり、有酸素運動などを行ったことによりエネルギーを求めることで、体に蓄えた中性脂肪を分解し、エネルギーを作り出し、体を動かす原動力になるのです。つまり、中性脂肪は体にとってはエネルギーの定期貯金みたいなものです。
1-2:健康診断の数値で解る中性脂肪の健康基準!
健康診断では中性脂肪はTGという値で表記されています。血液検査で血中に溢れ出した中性脂肪の量を数値化し、その値が高いか低いかで健康指導をされます。おおよその目安は、
29mg/dl以下:低中性脂肪血症
低中性脂肪血症の場合は、普段から栄養不足の状態です。頭がボーっとしたり、偏頭痛や体がだるい等の症状が出ます。この場合は脳まで栄養が届いていない可能性もありますので要注意です。このような状態になった場合は、栄養バランスを考えた食事を3食きちんと食べて、炭水化物などの米やパンを積極的に食べましょう。
30 ~149mg/dl:正常です。
健康診断でこの範囲にいれば大丈夫です。数値が高いと言われた人はこの数値を目指しましょう!
150~299mg/dl:境界域—軽度高中性脂肪血症
軽度高中性脂肪血症の場合はまだ、何かしら病気になるなどの危険は低いので、食事や運動によって中性脂肪値を下げる療法で対応できます。薬物療法はありません。具体的には、食事面では油物やコレステロールの多いものを控え、アルコール類は避けてください。そして、毎日30分、3km程度の運動を心がけるとかなり改善されます。
300~749mg/dl:中等度高中性脂肪血症
中等度高中性脂肪血症の場合は、それだけですぐに動脈硬化などの健康に悪影響を及ぼすという事はありません。但し、いろいろな原因(喫煙・飲酒・ストレス)も加味すると、動脈硬化になる危険性はあります。食事療法、運動療法を実施しつつ、他の危険因子があれば投薬治療を行います。500mg/dl以上の人は禁酒をしないと危険です。
750mg/dl以上:高度高中性脂肪血症
高度高中性脂肪血症の場合は重症です。ここまでくると、心筋梗塞、脳梗塞などの病気がいつ発症してもおかしくありません。薬物治療が必要になります。1000mg/dl以上である場合は危険性が高く、速やかな降下療法が必要になりますのですぐに病院で治療が始まると思ってください。
1-3:中性脂肪の数値が高いと、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞になります!
では、中性脂肪の数値が高いとどのような健康被害を引き起こすのでしょう。間違いなく引き起こすのは動脈硬化と言われています。動脈硬化は、心臓から送り出された血液を運ぶ動脈が硬くなる疾患です。血管の内側の壁にコレステロールがたまって血管の内腔が狭くなり、同時に血管が硬くもろくなることで、血栓ができたり、血管が破れやすくなり、日本人の死亡原因の上位を占める、心筋梗塞や脳梗塞などの原因といわれています。
また、中性脂肪が増えると、次のような健康被害も引き起こします。
・善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少する……血管内で回収できなかったコレステロールが増加し、血管の内壁にたまる。
・悪性度が高まった悪玉コレステロール(小型LDL )が増える……小型LDLは血管壁に入り込みやすく酸化されやすいため、動脈硬化を強力に進める。
・血液の粘度が高まる……血管が詰まりやすく、血管壁に無理な力が加わって、血管が破れやすくなる。
・炎症が促進される……血液中の脂質バランスが崩れると、血管内壁の細胞が傷ついて炎症を起こし、白血球の仲間のマクロファージと呼ばれる細胞がコレステロールを取り込んで、プラーク(動脈硬化巣)を形成する。中性脂肪はこの炎症反応を強めます。
参照:セルフドクターネット
2.中性脂肪が高くなる人の6つの原因
では次に中性脂肪はどうして上がってしまうのでしょうか?それは生活習慣に密接に関わっています。ここでは中性脂肪が高くなる人の6つの生活習慣を見ていきます。自分に該当する原因がないかどうか考えてみてください。
2-1:毎日の食事が偏っている人。
中性脂肪に大きく関係するのは毎日の食事です。以下の注意点を考えてみてください。
・栄養バランス考えて食べていますか?
・毎日、野菜をきちんと食べていますか?
・魚をきちんと食べていますか?
・脂身の多い肉、高コレステロールの卵 、油を多く使った揚げ物などをたくさん食べていませんか?
このような注意点に「どきっ!」とする人は中性脂肪を溜め込んでしまう傾向があります。
2-2:運動不足な人。
車移動や電車移動が多く、最近あまり歩いていない方は中性脂肪が溜まりがちです。 適度な運動は中性脂肪をため込まない体作りに最適で、肥満の予防にもなります。
2-3:喫煙をする人。
喫煙は百害あって一利なし。 喫煙は血管の収縮をうながし、赤血球が酸素と結び付くのを邪魔します。 その結果、ドロドロ血液になり脳梗塞や心筋梗塞になりやすいです。
2-4:アルコールを沢山飲む人。
適度なアルコールはお医者さんにも勧められますが、過剰な摂取は中性脂肪の消費を邪魔します。 中性脂肪は肝臓で作られますが、アルコールの摂取により肝機能の低下も招きます。
2-5:毎日の生活でストレスを感じている人。
中性脂肪とストレスは関係がないように感じますが、実はストレスも中性脂肪との関わりが深いです。 人間はストレスを感じると、自律神経やホルモンのバランスが変わります。結果、中性脂肪値を上昇させてしまう原因になるのです。
2-6:遺伝で中性脂肪が高くなりがちな人。
食事は野菜中心、喫煙も飲酒もせず、規則正しい生活をしている。なのに、中性脂肪値がなぜか高いという人がいます。 そのような人は、生まれ持った遺伝を疑った方がいいかもしれません。 家族にそのような人がいる場合、遺伝する確率も低くはありません。まずは身内に中性脂肪で悩んでいる人がいないか調べてみましょう。
3.中性脂肪の値を下げる9つの方法!
健康診断で「中性脂肪の数値を下げてください。」と言われたあなたはまず何をすれば良いのでしょうか?答えは簡単です。食べた食事のカロリーや糖質などが必要以上に多い分が中性脂肪に変化するので、食生活を見直してバランスの取れた食事をするか、運動などをしてエネルギーを多く使うことをすれば中性脂肪は消費されますので、必然的に中性脂肪の数値は下がります。
2-1:食生活を見直して、中性脂肪の数値を下げる6つの方法。
食生活を見直して、中性脂肪の数値を下げるにはあなたが意識的にどのように食事を取っているかがポイントになります。そこで習慣づけるべき6つの方法をお教えします。
2-1-1: 食べ過ぎないように注意しましょう!
食べ過ぎは栄養の偏りや肥満を招きます。高脂血症に悪いだけではなく、 高血症や血糖病などを引き起こすこともあります。目安としては、身長による 標準体重×25~30kcalの範囲内で日々の摂取エネルギーを調節することが大切です。
2-1-2:肉より魚、大豆製品を多く食べましょう!
肉の脂肪分はコレステロール値を上昇させます。 おかずは未来よりも魚や大豆製品を積極的にとるようにしましょう。
2-1-3:コレステロールを多く含む食品を控えましょう!
卵などの高コレステロール食品は食べてはいけないわけではありませんが、取り過ぎないようにしましょう。
2-1-4:食物繊維を食べるようにしましょう!
食物繊維にはコレステロール値を下げる働きがあります。 海藻、きのこ、野菜などを積極的に食べましょう。
2-1-5:ビタミンやポリフェノールを多く含む野菜や果物を食べましょう!
野菜や果物で動脈硬化を促進する活性酸素を抑えましょう。ただし果物の食べ過ぎは果糖による中性脂肪の数値を上げることもありますので、食べすぎには注意が必要です。
2-1-6: お酒を飲みすぎないようにしましょう!
お酒の飲み過ぎは中性脂肪値を上昇させます。肝臓の機能を低下させる原因にもなるので、適量を守りましょう。
2-2:生活に運動を取り入れて、中性脂肪の数値を下げる3つの方法。
生活に運動を取り入れて、中性脂肪の数値を下げるには有酸素運動と無酸素運動があります。そこで私がお勧めする3つの方法をお教えします。
2-2-1:有酸素運動のウォーキングが始めやすい!
中性脂肪を落とすための効果的な方法としてお勧めするのが 有酸素運動です。有酸素運動を日々続けることにより、身体の脂肪の燃焼効率が上がり、中性脂肪の増加を抑える効果が期待できるのはもちろん、現在中性脂肪の数値が高い方も下げることができます。
ただ、有酸素運動というと、「つらい・・・」「時間がかかる。」と言うイメージがありますが、1日20分程度のウォーキングから始めるだけでも十分に効果は感じることはできます。また、ウォーキングもちょっという方は、エスカレーターやエレベーターを使う代わりに階段を利用する、多少の距離であれば歩いて移動するなどを意識するだけでも、毎日続けることで、中性脂肪の数値にも期待が持てます。
2-2-2:私がおすすめするのはスイミング!
中性脂肪の数値を下げるのに私がおすすめすのはスイミングです。スイミングは有酸素運動であり、脂肪の燃焼効率が上がることから、中性脂肪の数値が低下するのはもちろん、身体の代謝がよくなり、中性脂肪がつきにくくなる身体を作っていくことも可能になります。特にスイミングは適度な運動でありながら、膝や腰などへの負担もすくないので、お歳をめした方でも大丈夫です。
また、平日1回・土日に2回の週3回を目標にして、1日30分から40分程度続けるだけでも効果が出てきます。気軽に落とす方法として、近くの市営の温水プールや体育館などにありますので試してみてください。
2-2-3:無酸素運動も中性脂肪の数値を下げます!
中性脂肪を落とすための方法として、ウォーキングやスイミングなどはよくお薦めされますが、無酸素運動はあまり語られることはありません。しかし、無酸素運動も中性脂肪を減らすための運動としてはやはり心がけたい運動方法の一つです。
有酸素運動は脂肪の燃焼効率を上げ、増加を抑えたり、減らしていく運動方法とするならば、無酸素運動はそのための身体の環境を作るための運動といえます。無酸素運動は主に腹筋や腕立て伏せなどの筋力トレーニングのことを指します。これらを続けることによって身体の基礎代謝が上がり、脂肪を燃焼させやすい身体に変えていくことが出来るようになるのです。
なお、何十年も運動をしていない方や60代以上でなかなか筋力トレーニングに不安がある方は、「健康寿命を伸ばそう!60歳からの体力アップトレーニング」を参考にしてみてください。家でもできる簡単な姿勢で試せる筋力トレーニングを動画で紹介しています。分かりやすいので一度、試していただくのをお勧めします。
サンプル見本:シッティングクランチ/腹筋トレ(4)/腹筋の筋力アップ
筋力トレーニング動画:健康寿命を伸ばそう!60歳からの体力アップトレーニング
4.まとめ
中性脂肪の数値が上がる理由や放置しているとあなたの健康を蝕むことは理解していただけたでしょうか!中性脂肪は単純に肥満で見た目が悪いだけではありません。あなたの命に関わる病気を引き起こす要素なのです。でも、毎日の食生活の見直しや適度な運動をすれば必ず改善できます。あなたの家族に心配をさせないためにも健康診断の結果を真摯に受け止めて、明日から生活習慣を改善する努力を始めてみてください。
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