巷にあふれる〇〇ダイエット法。もちろん運動するのがいいことはわかっている。でも生活習慣を変えて、運動のするのって結構大変。かといって、食べ物を制限するのもつらい。そんな方に朗報です。血糖値を上げない「エリスリトール」について紹介します。「エリスリトール」は天然にも存在する甘味料で、砂糖の代わりに使用するだけで糖質制限ができます。いつもと同じ料理法を実践するだけだから簡単に取り組めますね。
目次
1.エリスリトールは血糖値を上げない
エリスリトールは、「血糖値を上げない」とされる唯一の糖アルコールです。甘みは砂糖約70%で、果物や野菜に含まれていることもある天然成分なので、安全性が高いとも言われています。
1.1.ブドウ糖にならないエリスリトール
まず、エリスリトールが血糖値を上げない理由を説明します。化学構造式が出てきますが、話はとっても簡単。下に、エリスリトールと血糖値であるブドウ糖の構造を示します。
エリスリトール
ブドウ糖
どうでしょうか、あきらかにブドウ糖の方が大きいですよね。大きいということがわかるだけで大丈夫です。ご飯やうどんなどに含まれるデンプンは、体の中で消化されてブドウ糖になり、血液中に入り、血糖値が上昇します。一方のエリスリトールは、このブドウ糖より小さいのです。すなわち、エリスリトールは、体の中でブドウ糖にはならないのです。ですからエリスリトールを食べても血糖値が上がらないのです。
1.2.エリスリトールは糖質ゼロ
糖質とは、炭水化物のことで、正確には食物繊維を除いた炭水化物のことです。糖質とは、先に示したブドウ糖がいくつもつながったものになります。エリスリトールはブドウ糖とは構造が大きく異なります。また、ブドウ糖より小さい分子ですから、ブドウ糖にもなりません。したがって、エリスリトールは、糖質ゼロと言えるのです。
2.エリスリトールは砂糖の代替になる
血糖値を上げないエリスリトールですが、砂糖の約70%の甘みを有します。砂糖より甘みは控えめであり、砂糖に比べて口の中に入れるとひんやりする感覚があります。これは、エリスリトールが水と反応して熱を吸収するからなのです。このエリスリトールは、天然に存在する甘味料になります。甘味料と一言で言っても実はたくさんあり、よく目にするものもあります。3つの大きなカテゴリーに分けて紹介します。
2-1. 3つの甘味料
古来より人間は、甘いものを作り出すことに努力を重ねてきました。昔は食品の中に甘みを見出していましたが、近年に入り、天然には存在しない人工甘味料も開発されてきました。一方で、成分を抽出、濃縮する技術も高くなり、天然物から得られる甘味料(既存添加物)も開発されてきました。
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食品: 砂糖、和三盆、黒糖、三温糖、蜂蜜、メープルシロップ 、水飴、果糖、麦芽糖
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既存添加物:エリスリトール、トレハロース、マルチトース、ステビア加工の甘味料、羅漢果抽出物
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食品添加物の甘味料(人工甘味料):サッカリン(サッカリンナトリウム)、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、キシリトール、ソルビトール、パラチノース
見たことがあるものもたくさんあるのではないでしょうか。人間が口にする甘いものは、こんなにたくさんあるのです。エリスリトールもその一つであり、天然物から得られる甘味料になります。ですから、エリスリトールは、砂糖の代わりとして使用することができます。
2-2.ちゃんと甘いエリスリトール
エリスリトールが甘い理由は、あまりよく知られていません。しかしながら、理屈はこうです。舌にある味を感じる味蕾に到達したエリスリトールによって、味細胞の細胞膜の内側と外側で電位差が生じます。電池と同じです。この電位差により、甘さを感じるのです。エリスリトールはこの細胞膜での電位差を生じさせることで甘みを感じさせていると考えられます。どのような構造をもつものが、甘さを感じるのかと言ったことは、化学の世界でも難しく、構造式から合成するというよりも、甘かったものの構造式がこういう形だった、ということが多いのです。エリスリトールも、この構造式で、甘さを感じる物質だった、ということですね。天然に存在する甘み、ぜひ味わってみてください。
2-3.エリスリトール摂取における注意点
エリスリトールは砂糖の代替として使用できるため、砂糖の代わりに使うことで糖質制限は可能です。しかしながら、良いことばかりではなく、注意点が必要なことがわかってきました。
2-3-1.膵臓が弱り、脂肪が体に溜まるかも
エリスリトールはブドウ糖ではありませんので、血糖値は上がりません。しかしながら、最近の研究からは、ノンカロリーの甘味料であっても膵臓が反応して、インシュリンを分泌するというのです。糖がないのに膵臓が働くことになります。すると、膵臓のエネルギーが枯渇し、膵臓が弱り、分泌能力が落ちてしまうというのです。そこへ本物の糖が入ってきたとき、その糖をエネルギーに変換できず、糖が脂肪として体につき、肥満の原因になる可能性があります。
2-3-2.カロリーゼロでも太るかも
エリスリトールはブドウ糖になりませんから、いくら食べても、脳への満腹感が伝わりません。そのことにより、食べていても空腹を感じてしまい、食べすぎてしまうことがあります。あるいは、「カロリーゼロだから」と安心してしまうという心理的要因によって、結局は食べ過ぎてしまうことがあります。
いずれも結果として見えてくるのは、「肥満」という言葉です。せっかく糖質制限をしているつもりでも、肥満になりやすい体になってしまっているとしたらどうでしょう。それでは身も蓋もありません。エリスリトールをとるということはそういう現実もあるということを知りながら、うまく付き合いましょう。
3.エリスリトールは安全
世の中には、砂糖の200倍の甘さを持つアスパルテームをはじめ、たくさんの人工甘味料が存在します。その中において、エリスリトールは天然物から得られるものであり、甘さも砂糖の約70%ですから、砂糖よりも甘さがありません。ただ単に、甘さだけを追求するのであれば、人工甘味料の方が、少量で劇的な甘さを得ることができます。
3-1.“天然物だから安全だ”というのは間違い
「天然物」と「人工物」と聞いて、どちらが安全だと思われますか?「天然物」だから安全で、「人工物」だから危険、と言いたいところですが、そうではありません。天然物の中にも危険なものがあり、人工物の中にも安全なものはたくさんあります。たとえば、ふぐ毒、トリカブト、毒キノコなど、天然物の中にも危険なものはたくさんあります。安全か危険かの判断は、違った指標で見る必要があります。
3-2.エリスリトールの安全性はエビデンスから
安全性は、遺伝子毒性や動物実験、さらにはヒトの安全性試験によって安全性が確認されます。エリスリトールはそう言った試験を行った結果、安全性が確認されています。ちなみに20年も前の1997年には、アメリカのFDAによって安全であると認定されており、歴史ある安全な甘味料と言えます。
4.エリスリトールは糖質制限に便利
エリスリトールは、甘いにもかかわらず、糖質はゼロなのです。糖質がゼロですから、糖質制限には最適なのです。今まで料理に使っていたお砂糖、コーヒーや紅茶に入れていたお砂糖をエリスリトールに置き換えるだけで、その分の糖質を抑えることができるのです。
4-1.料理に使えるエリスリトール
たくさんの安全とされる甘味料の中で、エリスリトールが糖質制限に最適とした理由があります。それはとても扱いやすいこと、安いことです。スーパーでも手に入れることができる「パルスイート カロリーゼロ」(味の素)や「ラカントS」(サラヤ)などは、エリスリトールを主成分の甘味料です。砂糖の甘さに近づけるために、ほんの少し人工甘味料が含まれています。「パルスイート カロリーゼロ」や「ラカントS」は、砂糖と同じ感覚で、料理に使うことができます。「パルスイート カロリーゼロ」であれば、砂糖の3分の1の量で同じ甘さを得られるように作られています。おいしい料理を堪能できて、血糖値は上がらないのです。
さらに、「パルスイート カロリーゼロ」や「ラカントS」はそれほど高いものではなく、液体タイプと顆粒タイプがあります。使いやすい方を選ぶことができますよ。
「パルスイート カロリーゼロ 液体タイプ 350g」
参考価格 442円
「パルスイート カロリーゼロ 顆粒170g」
参考価格819円
「ラカントS 液状 280g」
参考価格473円
「ラカントS 顆粒 200g」
参考価格653円
4-2.エリスリトールを効果的に使用できる料理
エリスリトールは、砂糖の代わりに使うものです。ということは、砂糖を多く使わざるを得ない料理に使用することが最も有効的なことだと言えます。砂糖を多く使う料理とは何でしょうか。ここに紹介いたします。
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お魚の煮つけ(タイのあら炊き、サバの煮つけ、イワシの甘露煮、カワハギの煮つけ、メバルの煮つけ
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煮物(筑前煮、肉じゃが)
これらの料理には、砂糖をたくさん用います。パルスイートやラカントをうまく利用して、糖質制限料理を作りましょう。
最後に、お砂糖ではなく、「みりん」と使いたいときもありますよね。エリスリトールからなる「糖質制限 みりん風調味料」と言うものもあります。
販売価格 858円
「みりん風調味料」すべてがエリスリトールからなるわけではありません。紹介しました「糖質制限 みりん風調味料」は、一般の「みりん」に比べて糖質を92%カットされていますので、有効的に使えそうですね。ぜひお試しください。
5.まとめ
エリスリトールについて考えてきました。糖質制限の料理を考える際に、エリスリトールはとても強力にサポートしてくれそうですね。人工甘味料のように甘すぎず、いつもの砂糖の代わりに使えるのがいいですね。また気になる安全性も、20年以上も前から安全だとされているので、安心です。エリスリトールを上手に使って、糖質制限がんばりましょう。
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