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  • 2018/11/5

糖質の吸収を抑えると太りにくくなる。その方法をご紹介!

糖質

最近、「糖質の吸収を抑える」と書いてある食品をよく目にしますが、糖質の吸収を抑えるとどうなるかご存知でしょうか。糖質の吸収が抑えられると、血糖値の上昇が緩やかになり、その結果、肥満や糖尿病などを引き起こすことを防いでくれます。簡単にいうと太りにくくなるということです。では一体糖質の吸収を抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、なぜ糖質の吸収を抑えることで太りにくくなるのか、そしてどのようにしたら糖質の吸収を抑えることができるのかをご紹介します。

1「糖質の吸収を抑える」とは

糖質の吸収を抑えるとよく目にしますが、これはどのような意味かご存知でしょうか。ここでは糖質の吸収を抑えるとはどのようなことなのか、そして結果としてどうなるのかをご説明します。

1-1 「糖質の吸収を抑える」とは糖質が体の中に入らないということ

糖質の吸収を抑えるということは、糖質を食べても体の中に入っていかずに外に排出されるということです。
本来、糖質は食べられたのち食道を通り、胃から小腸へと分解されながら進み、小腸で体内へ取り込まれ、血管内を流れることになります。
この小腸において体内へ取り込まれるのを極力少しにしてあげることを「糖質の吸収を抑える」と表現します。

1-2 糖質の吸収を抑えると太りにくくなる

太る原因は様々ありますが、そのなかでも主な原因と言われているのが糖質です。つまり糖質の吸収が抑えられるということは、太る原因となるものが体内に吸収されないということになり、太らないということになります。

体内に取り込まれ血管中を流れている糖質は、インスリンなどの作用で、肝臓、筋肉、脂肪細胞や脳などに取り込まれることになります。基本的に取り込まれた糖質は、取り込まれた先で消費されますが、消費されなかったものに関してはグリコーゲンや中性脂肪といった形に糖質が変化して体内に貯蔵、貯蓄されることになります。

そしてこれらが消費されることなく貯蓄、貯蔵され続けることで太ることになるというわけです。

2 糖質の吸収を抑えるには食物繊維やポリフェノールを利用しましょう

簡単に糖質の分解を抑えるといってもどのようにしたらよいのでしょうか。基本的には2つの成分に頼ることになります。一つは食物繊維、もう一つはポリフェノールです。これらを活用することで糖質の吸収を抑えることができます。

2-1 食物繊維には糖質の吸収を抑える効果がある

食物繊維が糖質の吸収を抑えてくれるといっても、食物繊維であればなんでもいいというわけではありません。食物繊維には実は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。そして、糖質の吸収を抑えてくれるのは水溶性食物繊維のほうになります。そのため積極的に水溶性食物繊維は食べるようにしましょう。

水溶性食物繊維は、豆類や穀物類や野菜に豊富に含まれています。表1に水溶性食物繊維を豊富に含む食材をまとめていますので、食事の参考にしてみてください。

参考:高橋 陽子 繊維質と食物繊維 日本食品科学工学会誌 / 58 巻 (2011) 4 号

表1 水溶性食物繊維を豊富に含んだ食材 (100g中)

穀物類

豆類

野菜

食品名

含有量(g)

食品名

含有量(g)

食品名

含有量(g)

大麦

6.0

豆きんとん

4.3

エシャロット

9.1

オートミール

3.2

納豆

2.3

かんぴょう

6.8

ライ麦パン

2.0

きな粉

1.9

唐辛子

5.4

小麦粉

1.6

インゲン豆

1.5

にんにく

3.7

でんぷん粉

1.1

エンドウ豆

1.1

切干大根

3.6

玄米

0.2

オカラ

0.3

ゆりね

3.2

ハト麦

0.0

豆乳

0.2

ごぼう

2.7

精白米

0.0

豆腐

0.1

オクラ

1.6

引用:カロリー計算 -健康的なダイエットに、生活習慣病の予防に!

 2-1-1 水溶性食物繊維の中でも大麦がおすすめ

水溶性食物繊維を豊富に含有する食材のなかでも大麦は圧倒的に含有量が多く、また朝食に大麦を食べると(ファーストミール)、昼食(セカンドミール)の血糖値にも影響をおよぼすセカンドミール効果という優れた効果も持っています。つまり糖質の吸収を抑える効果が長く続くということです。(図1)

また大麦は白米の代替としても使えますので、毎日食べるにはもってこいの食品になりますので非常におすすめです。

 参考:

Anne C.Nilsson  et al. Increased gut hormones and insulin sensitivity index following a 3-d intervention with a barley kernel-based product: a randomised cross-over study in healthy middle-aged subjects . Br J Nutr. 2015 Sep 28;114(6):899-907.

 図1 大麦を食べたときのセカンドミール効果

引用:大麦生活 大塚製薬の大麦ごはん

2-2 トクホでも使われている難消化性デキストリンも実は食物繊維に含まれ、糖質の吸収を抑える

近年よく聞くトクホ(特定保健用食品)ですが、このトクホ商品にも糖質の吸収を穏やかにするという文言が書かれている商品があります。これが書かれたトクホの商品にはほぼ間違いなく難消化デキストリンが入っています。

難消化性デキストリンは、天然では熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維の一種であり、食品工業では、とうもろこしの澱粉分解物からつくられた難消化性デキストリンが流通しています。

 難消化デキストリンは粘度の高い溶液をつくり、胃から小腸への食物の移行を緩やかにし、拡散阻害作用、吸水・膨潤作用、吸着作用などがあります。摂取した食物は胃で消化され、緩やかに移行し、吸着され、吸収速度が緩慢となります。その結果、グルコースの吸収を緩慢にして血糖値の上昇を抑えるというわけです。

 難消化デキストリンには糖の吸収を抑える効果だけでなく体脂肪低減作用や整腸作用や総コレステロール・中性脂肪低下作用があるとされています。そのため幅広い健康効果が期待できます。

 参考

大隈一裕、松田功、勝田康夫、岸本由香、辻啓介「難消化性デキストリンの開発」、『Journal of applied glycoscience』第53巻第1号、日本応用糖質科学会、2006120

藤田昌子、長屋聡美 「食品の違いによる食後血糖への影響 (PDF) 」『岐阜女子大学紀要』32, 2003-03-30

 ちなみに難消化性デキストリンはトクホ商品からだけしか摂取出来ないというわけではありません。実は難消化性デキストリンはそれ単体でも売っています。こちらのほうが長期的にみると安上がりですので、トクホの購入を検討または購入しているなら、単体での購入をお勧めします。

また難消化性デキストリンは無味無臭ですので、使い方としてはコーヒーやお茶などにお好みの量を混ぜて飲んでみるのもいいかもしれません。

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 2-3 ポリフェノールは糖質の分解を防ぎ吸収を抑えることができる

ポリフェノールという成分をご存知でしょうか。ポリフェノールはほとんどの植物に含まれていてその種類は

数千種類に及びます。ポリフェノールは植物の色素や苦味の成分であり、植物細胞の生成、活性化などを助ける働きを持つとされています。近年、その作用が注目されています。

例えばお茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンやブドウ果実の皮や種子に含まれるポリフェノールの一つであるプロアントシアニジンや柿に含まれる柿タンニンやグァバ葉に含まれるグァバ葉ポリフェノールなどには、糖質の分解を防ぎ吸収されないようにしてくれる効果があり、血糖値上昇抑制効果が期待できます。

 これらポリフェノールは皮や種に含まれていることが多く、お茶は茶葉に最も豊富に含まれています。そのためより多くのポリフェノールを食べるためには皮ごと、または茶葉ごと摂取するのが効率的です。

 しかし、皮や茶葉などは苦みがあり苦手という方も多いかもしれません。また皮などはぶ厚すぎて食べれないという方もいると思います。

 そのような方たちにはポリフェノールを成分として食品やトクホ、機能性表示食品として日常的に摂取しやすい形で店頭に出回っているものがありますので、そちらをお勧めします。店頭やネット通販で簡単に購入できますので試してみるのもいいかもしれません。

 ポリフェノールには、糖質の吸収を抑えるだけでなく、そのほかにも健康的な効果が報告されています。その効果は種類により異なりますので自分に合ったポリフェノールを探し選びましょう。

 2-3-1 糖質の分解を防ぐ重要性

糖質を食べても吸収させないためには、糖質の分解を防ぐことも重要になります。

実は糖質は糖質の最小単位である単糖まで分解されなければ吸収されません。そのため、糖質の吸収を抑えるには糖質の分解を抑えることも効果的になります。

日頃食事から摂取している糖質の大部分はでんぷんやショ糖、あとはブドウ糖や果糖、乳糖、麦芽糖といった

ものになります。これらを分類すると次のようになります。

単糖類 ブドウ糖、果糖

二糖類 ショ糖、乳糖、麦芽糖

多糖類 でんぷん

これらすべてがそのままの形では吸収されているわけではありません。糖質はすべて、口から入って消化管を移動しながら糖質の最小の単位である単糖類にまで分解され、小腸から吸収されます。この単糖類の形でしか小腸は吸収できません。つまり単糖の形にまで分解されなければ吸収されないということです。よって糖質の吸収を抑えるには糖質の分解を防ぐことが重要になります。

参考:

Takahashi M  et al.(2014) Acute ingestion of catechin-rich green tea improves postprandial glucose and increases serum thioredoxin concentrations in postmenopausal women. Br J Nutr, 112, 1542-50, 2014

佐々木信和 プロアントシアニジン高含有ブドウ種子エキスの高血糖予防作用 日本補完代替医療学会学術集会プログラム・抄録集 巻:9th ページ:69

出口 ヨリ子 グアバ葉熱水抽出物のdb/dbマウスにおける抗糖尿病効果およびヒト飲用試験による食後血糖値上昇抑制効果 日本農芸化学会誌 / 72 (1998) 8

米谷俊 タンニンの機能性を活用した食品開発への展望 近畿アグリハイテクシンポジウム

3 水溶性食物繊維によって糖質の吸収を抑えるための効果的な食べ方

水溶性食物繊維の効果をより発揮させるためには、食事の中でその食物繊維を含む食材を食べるタイミングが重要になります。結論から言うと、水溶性食物繊維を豊富に含む食材を最初に食べるのが最も良いとされています。

その理由は水溶性食物繊維の特性にあります。水溶性食物繊維は水に溶けて腸内で水分を抱え込んでヌルヌルとしたゲル状成分となり、糖質などの成分を吸着して排出します。つまりヌルヌルしたゲル状になっていないと効果はあまり期待できません。よって最初に食べてゲル状にしておかなければならないというわけです。

またゲル状になるまでには少し時間もかかるのでゆっくりと食べることを心掛けるようにしましょう。

 参考

Hitoshi Kuwata et al. Meal sequence and glucose excursion, gastric emptying and incretin secretion in type 2 diabetes: a randomised, controlled crossover, exploratory trial. Diabetologia, March 2016, Volume 59, Issue 3, pp 453–461

4 まとめ

いかがでしたでしょうか、糖質の分解を抑えるということは、体内に糖質を侵入させないということであり、その結果太りにくくなるということになります。さらに、その吸収を抑えるためには、食物繊維やポリフェノールの存在が重要になります。食物繊維の中でも水溶性食物繊維が、吸収を抑える効果をもっていて、特に大麦が豊富に含んでいます。またトクホ商品にもよく使われている難消化デキストリンもお勧めで、トクホ商品を買うよりは、難消化デキストリン単体で買うほうが経済的かもしれません。

ポリフェノールについては、食物繊維とは異なる糖質への作用により糖質の吸収を抑えることができます。このようなポリフェノールは柿やブドウやお茶などに豊富に含まれています。さらにポリフェノールには、糖質の吸収を抑えるだけでなく、そのほかにも健康的な効果が報告されています。その効果は種類により異なりますので自分に合ったポリフェノールを探し選びましょう。

これら成分を効率的に利用するためには、いつ食べるのかも重要になります。できれば、ポリフェノールや食物繊維が入ったものは最初に食べるようにしましょう。

水溶性食物繊維や難消化性デキストリンやポリフェノールなどを積極的に利用し、また食事も食物繊維から食べ、ゆっくり食べることを心掛けましょう。まずは気軽に利用できる水溶性食物繊維を食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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