「糖質制限をしていたら、肌荒れがひどくなった気がする」「糖質制限をしたら何となく肌の調子が良い」、糖質制限中の方の肌に対する意見を聞くと、どちらの声も耳にします。そもそも糖質制限は肌と関連があるのでしょうか。あるならば一体どちらが正しいのでしょうか?
そこで、今回は糖質制限をすると肌にどのような影響が出て来るのか?肌にとって良いのか悪いのか?そんな疑問にお答えしていきます。
目次
1.糖質制限は肌にとってプラス
糖質制限が肌に良い影響か、悪い影響かで言えば、本来は「良い影響」であることは間違いありません。その理由は主に2つ挙げられます。
肌の「糖化」を抑える
「糖化」という言葉はご存知でしょうか?糖化とは、たんぱく質や脂質が糖質と結びつくことです。血液中に「余分な糖」があると、糖質は体内のたんぱく質や脂質と結びついて変性させてしまいます。例えば肌において体の表皮細胞で糖化は起こり、肌の透明感に影響を与えることが分かっています。
さらに皮膚を構成する「コラーゲン繊維」はバネのような構造になっていますが、これが糖化することでバネが固定されてしまいます。その結果、繊維の可動性やしなやかさが失われ、弾力性が低下しハリがなくなって、硬くなってしまいます。
つまり「余分な糖」を出さないようにする糖質制限は糖化を起こりにくくし、肌にも良い影響を与えてくれる、というわけです。
たんぱく質をしっかりとれる
糖質制限の大きなメリットととして「たんぱく質」をしっかりとれる事が挙げられます。炭水化物中心の生活では普通に食事をしているつもりでも、糖質を食べる割合が多くなり、たんぱく質がおろそかになりがち。
すると、たんぱく質からできる肌には欠かすことのできない栄養素であるアミノ酸が不足してしまいます。アミノ酸が不足すると肌のターンオーバーの乱れから始まり、紫外線などから守るバリア機能が低下し皮膚トラブルをおこしやすくなってしまいます。
またコラーゲンなどの皮膚の構造を保っているのもたんぱく質なので、十分にたんぱく質が摂れていないとお肌のハリ、つや不足にもつながります。そのため、たんぱく質の摂取量が増えやすい糖質制限は肌にとってプラスに作用しやすくなります。
2.食生活の変化が肌に肌に影響を与える
もしあなたの肌が荒れたり、ニキビや赤みが出る、肌ツヤが悪くなった、など肌に悪い変化が起きた場合、次のような原因かも知れません。
・肌の乾燥
・強いストレス
・胃腸などの内臓環境
・睡眠不足
・お風呂で湯船につからない、もしくはほとんど汗をかかない毎日。
・スキンケアが出来ていない
・生理前
このように様々な原因で肌に悪い変化が出ることがあります。ですが、もし糖質制限中に肌に悪い影響が出た場合には食生活が原因かもしれません。
食生活の変化により摂取する栄養が変わる
糖質制限で肌が変わる主な原因に「食生活の変化」があります。糖質制限は1日の糖質量を抑えるため、糖質量の多い食品を避けますよね。これにより体に取り込む栄養素が大きく変わることが肌にも影響してきます。
例えばじゃがいもです。イモ類は全体的に糖質が多めなので、糖質制限中の方は避けがち、減らしがちな食品の一つです。確かにじゃがいもの糖質は100g当たり16.3gと比較的高めですが、実はじゃがいもには肌に必要とされるビタミンCを豊富に含んでいます。
このように糖質量だけを見て避けていると、制限前は摂れていた肌に必要な栄養素も取り損ねることになってしまいます。そのため、この不足した栄養素は別の食べ物で意識的に補給していく必要があります。
3.肌に必要な5つの栄養素を取り入れる
本来肌に良いはずの糖質制限で肌に影響が出たとすれば、それは正しい糖質制限ではありません。原因は食生活にあり、肌の栄養不足にあります。そこで、肌に関する正しい糖質制限を成功させるために、おすすめのポイントをご紹介します。 糖質制限中に意識的にとってほしい肌に必要な栄養素が5つあります。
ビタミンA
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つために必要な栄養素。肌の基礎体力をあげるために、必要不可欠なと言われています。肌のカサつきやシワに悩んでいる人はしっかりとっておきたい大事な栄養の一つです。
ビタミンAが豊富な食材は、ほうれん草。糖質量も低いほうれん草は油と一緒に摂ると吸収率が高まるので、おひたしにするよりも炒めて食べるのがおすすめ。わかめや海苔などお味噌汁の具材でも取り入れやすいですね。
ビタミンC
しみ、そばかすの原因となるメラニン色素の生成をおさえる働きがあると言われているビタミンC。美肌には欠かせない栄養素としてよく知られています。
ビタミンCはピーマン、海苔に多く含まれています。料理にも取り入れやすいピーマン1個のビタミンC含有量は約35g。これだけで1日の1/3のビタミンC推奨量を摂れてしまいます。ちなみにビタミンCは一度にたくさん摂っても吸収できずに排出されてしまうのでこまめに摂るのがポイントです。
ビタミンE
ビタミンEには優れた「抗酸化作用」があることで知られています。老化の原因にもなる活性酸素は日々の生活の中で発生しますが、これが肌の乾燥やシワの原因になります。ビタミンEはこの活性酸素の働きを抑え、肌や細胞の老化を防ぐ役割を持っています。
さらにビタミンA、C、Eは一緒に取ることで相乗効果があるとして、大きく注目されています。体内に発生した活性酸素によって細胞が酸化されると、過酸化脂質という物質ができます。ビタミンEは酸化を防ぐ、抗酸化作用のあるビタミンですが、過酸化酸素があまりにも沢山できると、ビタミンEの抗酸化作用も追いつきません。
そこで、役割を果たすのがビタミンC。CとEは協力しあって酸化を抑えます。働きすぎると壊れてしまうビタミンEは、ビタミンCから電子をもらうことで、再び元通りのビタミンEに戻って元気に働くことができるのです。これに加えビタミンAも抗酸化作用がある栄養素のひとつで、ビタミンEを助け、皮膚の健康を維持する働きを持っています。
たんぱく質
たんぱく質は体内のあらゆる細胞を作り、肌の状態キープするための、とても大切な栄養素。ただし、たんぱく質のままでは分子が大きく取り込めないため、分解され、アミノ酸となって吸収されます。
このアミノ酸で重要なことは、体内で作り出せない必須アミノ酸9種類をどれだけ食べ物から取り込めるかということ。そこで、アミノ酸スコアという、食品に含まれる9種類の必須アミノ酸のバランスを数値化したものを活用しましょう。アミノ酸スコアが100に近い、いわゆる「良質なたんぱく質」を摂ることで肌により良い糖質制限が出来るようになります。
食物繊維
食物繊維は便秘を防ぐため大事な役割を持っています。炭水化物にも多少の食物繊維が入っているため、糖質制限してしまうとどうしてもこの食物繊維が不足しがち。意識的に食物繊維を摂るようにしていきましょう。
食物繊維不足で便秘になると肌の張りやツヤが無くなったり、ニキビ、肌荒れ、くすみなどのお肌のトラブルの原因に。これは自律神経の働きが悪くなり、皮膚の血行が悪くなることにあります。また、便秘でお腹の中に何日も便をため込んでしまうと、腸の中で便の腐敗が進み、悪玉菌が大量に増え、有害物質が発生します。この有害物質は腸から吸収され、血液中に溶け込み、全身に到達します。この毒素も、肌荒れの要因になります。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性の食物繊維は果物や海藻、こんにゃくなどに多く含まれています。これらの食物繊維は便の中に溶け込み、便を軟らかくして腸内の通過をよくします。不溶性の食物繊維は、豆類、根菜類、野菜類、きのこ類などに多く含まれ、腸のぜん動を活発にして便を押し出す効果を持っています。「数日出ない」といったタイプは非水溶性の食物繊維を摂るようにしましょう。
4.糖質制限中に行いたい4つの方法
糖質制限+肌対策を同時に行っていくのはなかなか大変なもの。そこで、4つのポイントを押さえて肌にとっても糖質制限にとっても良い方法を行っていきましょう。
お肉を食べるなら赤身肉
炭水化物を減らす代わりに選びたいのがお肉。ボリュームがあり、お腹を満たすためにもぜひ取り入れたい食材です。お肉にはたんぱく質が豊富に含まれていますが、特に赤身肉に多く含まれます。お肉を食べる際は、どの食材でもなるべく赤身肉を食べるようにしましょう。
魚はDHA・EPAの多いものを
EPAやDHAはともに、ヒトの体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸の一種で、魚の油に含まれ、イワシやサバなど青魚など脂の乗った魚に豊富に含まれています。DHA・EPAはともに血管や血流を良くするもので、取り込まれた新鮮な栄養を肌に運ぶためのサポートをしてくれます。
このDHA・EPAが多く含まれているのが、マグロ、ブリ、サケ、イワシです。なかなか毎日食べるのは難しいという方は、サバの缶詰でもDHA・EPAが豊富に含まれているので、お手軽でオススメです。
ビタミンはサプリを活用
ビタミンは価格が安いサプリでの摂取するようにしましょう。美肌のセットとしてACE配合のサプリが販売されていることも多いため、ビタミンを求めて必要な食材を集めるよりも、簡単で長続きしやすいはずです。糖質制限の間だけでもお手軽にかつ安く買えるビタミンACE配合のサプリをぜひ試してみてください。
ただし、ビタミンの推奨量が摂れるかは配合量を見てチェックしておきましょう。各目安量はビタミンA が650~700μgRE/日、ビタミンCが100mg/日、ビタミンEが6.0 mg/日となっています。
良質なたんぱく質をソイプロテインで摂取
良質なたんぱく質を手軽に摂取するためにソイプロテインが簡単です。ソイプロテインの「ソイ」は、「大豆」のこと。大豆には「油脂」のほか、「タンパク質」が約35%程度含まれています。ソイプロテインは、大豆から油脂を絞った後に、タンパク質を取り出したものです。植物由来の「大豆タンパク質」がたっぷり含まれています。
ソイプロテインはアミノ酸スコアが高いうえ、さらに植物性タンパク質に属する大豆タンパク質は、飽和脂肪酸含有量が低く、コレステロールを含まれないことから、脂質異常症などの生活習慣病にはつながりにくいと言われています。良質なたんぱく質をお肉よりもヘルシーに摂ることができるため、ソイプロテインを取り入れる事をおすすめします。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。糖質制限をする上で、ただ単に糖質を抜いてしまうと、炭水化物から得られるはずだった栄養が摂れなくなってしまいます。その結果、肌荒れやくすみが出てきてしまうため、正しい糖質制限を学び、ダイエット、美肌の両方を成功させましょう。
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