健康診断で中性脂肪が高いと言われ、その数値を見ると400mg/dL。基準値を大きく飛び越えているため、とても不安になりますよね。実際中性脂肪が400mg/dLとはどういう状態なのでしょうか?この数値は決して安全水域ではありません。このまま放置すると、動脈硬化や心疾患、脳梗塞などを発症する可能性が高まります。今すぐ中性脂肪を改善する方法を実践し、これを機会に中性脂肪を正常値に戻しましょう。
目次
1.中性脂肪が400であることが意味すること
中性脂肪の基準値は、正常値:30~149mg/dl、異常値:29mg/dl以下または150mg/dl以上です。中性脂肪が400となるとかなり高い値になります。下におおよその目安を示します。
mg/dL | 状態 | |
正常 | 29-149 | |
軽症 | 150-299 | 食事や運動によって中性脂肪値を下げることができます。 |
中症 | 300-749 | すぐに動脈硬化になるというレベルではないけれども、複合的な原因により動脈硬化になる可能性がある。特に、この領域での喫煙者や糖尿病予備軍の方は要注意になります。 |
重症 | 750- | 心筋梗塞や脳梗塞などが迫っています。 |
中性脂肪が400と診断されたということは、注意が必要なレベルにあると言えるでしょう。薬による治療が始まるか始まらないかの瀬戸際です。もし、喫煙の習慣があったり、糖尿病予備軍であったりという場合ですと、薬を飲むことを進められることが多いようです。もし、そういうことがないようでしたら、薬に頼らず、まずは食生活や生活習慣を見直しましょう。
2.中性脂肪は大切だけど貯めすぎに注意
2-1.貯蔵エネルギーとしての中性脂肪
中性脂肪とは何なのか?簡単に言うと『人間の体に蓄えられた貯蔵エネルギー』のことです。すなわち、食べたものは基礎代謝のためのエネルギーや運動のためのエネルギーとして消費されるのですが、一部は消費されずに体に取り込まれます。その際、『中性脂肪』という物質として、体に蓄えられるのです。そしてこの中性脂肪がその真価を発揮するときと言えば、さまざまな要因によって食べ物が食べられない飢餓状態にある時に、体が貯めこんだ中性脂肪を使う時です。言うなれば、『中性脂肪は飢餓の時代を生き延びる生命維持のエネルギーである』ということです。
2-2.貯まりすぎると病気を引き起こす中性脂肪
一方、現在社会において、食べるものがなくて体が飢餓状態に陥るということはほとんどないでしょう。体が食べ物を受け付けないときと言えば、風邪をひいて寝込んでしまっている時くらいではないでしょうか。しかし年に何回も風邪を引くものでもありません。したがって、蓄えられた中性脂肪が使われる機会は少なく、中性脂肪は体に貯まる一方なのです。中性脂肪が体に蓄えられ続けるとどうなるのでしょうか。中性脂肪を体内に貯めこみすぎると、動脈硬化や心疾患、脳梗塞などを発症の可能性が高まってきます。何かの時に必要な中性脂肪、一方で貯まりすぎると病気を引き起こす中性脂肪。中性脂肪を貯めすぎないことが重要なのです。
3.高い中性脂肪は検査前ミスの可能性ありー再検査を
3-1.直前の食事により影響を受ける中性脂肪
健康診断で中性脂肪が高いと診断された時、どのように受け止めればよいのでしょうか?中性脂肪が400だったために、即入院となるのでしょうか。まず思い出していただきたいのは、検査の日の前日および当日の朝の過ごし方です。実は、食事を食べた直後から4時間後くらいにかけて、血液中の中性脂肪の値は2倍程度に高くなります。そして、6時間以内には元の状態に戻ると言われています。前日の食事の時間が遅かった場合には、中性脂肪の検査値に影響することもあります。もし、検査の直前に何か口に入れたということであれば、それが原因で中性脂肪が高く出てしまった、ということもあるのです。
3-2.直前のアルコールにより影響を受ける中性脂肪
食事をとると中性脂肪が増えて4時間後くらいまでにピークを迎え6時間後には元に戻るのですが、アルコールを飲んだ場合には、その影響はさらに長くなります。アルコールを飲んだ場合、中性脂肪のピークは12時間後と言われています。これは、肝臓が脂肪酸を分解することよりも、アルコールを分解することを優先するため、肝臓の脂肪酸を分解する力が弱まり、中性脂肪となる脂肪酸の蓄積が起こることによります。前の日の食事が遅く、アルコールをたくさん飲んでしまっていたとしたら、その影響で中性脂肪が高く出てしまった、という可能性があると言えます。
3-3.気になったら再検査を
健康診断で中性脂肪が400という高い値であったならば、再検査を受けましょう。もう一度受けてみると、実は正常値であったということもよくある話です。しかし、もし検査前の食事やアルコールに覚えがない場合、あるいは再検査を受けてもなお、中性脂肪が400であったならば、それは、慢性的に中性脂肪が高い状態になっている可能性が高いと考えてよいでしょう。その場合には、高くなってしまっている中性脂肪を減らしていく努力が必要になります。
4.中性脂肪を149以下にするための4か条
4-1.脂肪と炭水化物の摂取を避けるべし
血中の中性脂肪が高くなる原因の一つは、当たり前ですが食べすぎが原因になります。中でも脂肪と炭水化物は、体内で過剰になると肝臓において中性脂肪に変換され、皮下や内臓に蓄えられます。その過程で、血液中の中性脂肪も増えてしまうのです。脂肪分と炭水化物を避けることと合わせて、食べすぎには注意しましょう。ご飯は腹八分目でやめましょう。体重が増えているようなら食べすぎです。
特に食べすぎに注意したい食べ物
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脂肪の多い食品:トンカツ、てんぷら
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乳脂肪分が含まれる食品:バター、チーズ、生クリーム、アイスクリーム
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糖分が多く含まれる食品:糖分の多い清涼飲料水、チョコレートや饅頭などの和洋菓子、ショートケーキやシュークリームなど。
4-2.中性脂肪を下げる食品を摂るべし
脂肪と炭水化物の摂取を減らした代わりに、青魚や大豆製品を採るようにしましょう。青魚には、EPAやDHAが含まれ、これらは中性脂肪を減らす働きがあるとされています。その他、エゴマ油などのα-リノレン酸、大豆製品に含まれるレシチンも中性脂肪を減らす働きがあるとされています。
特に積極的にとりたい食べ物
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サバ、サンマ、イワシなどの青魚
納豆、豆腐、豆乳などの大豆製品
エゴマ油(しそ油)、アマニ油
特におすすめしたいのは、なんといってもEPAやDHAを多く含む青魚です。もし生魚を調理するのが億劫な場合には、イワシやサバの缶詰でもよいです。EPAやDHAは1日に1000mg摂取することを目指しましょう。1日の摂取目安量である1000mgについては、下記の表を参考にしてください。ここから言えることは、青魚であれば100g以内でも十分なEPAとDHAが摂取できることがわかります。食べる量としては決して多い量ではありませんので、毎日青魚を食べる習慣をつければよいでしょう。
中性脂肪対策にEPAを摂る!その4つの理由と降下メカニズムとは?
可食部100g中のEPAとDHAの量 | ||
EPA | DHA | |
まいわし | 1,200mg | 1,300mg |
さば(国産) | 500mg | 700mg |
さんま | 890mg | 1,700mg |
ぶり | 940mg | 1,700mg |
はまち(養殖) | 980mg | 1,700mg |
まだい(養殖) | 600mg | 890mg |
4-3.良い睡眠と良い運動をすべし
生活のリズムも重要です。睡眠時間が短い方も多いと思いますが、睡眠が短いと中性脂肪が上がりやすくなることが知られています。できうる限り6時間の睡眠をとりましょう。また、摂取したカロリーを消費するためにも、運動をしましょう。運動と言うと、大変そうなイメージがありますが、有酸素運動としてのウォーキングで十分です。買い物ついでに30分程度歩くだけでも、太ももの大きな筋肉が動きますので、エネルギーを消費してくれます。筋肉量が上がると基礎代謝が増えるので、中性脂肪も貯まりにくくなります。
4-4. 中性脂肪を下げるEPA・DHA商品
トクホ商品にもなっていますが、中性脂肪を下げる成分としては現在、EPA・DHAがよいと言われています。DHA・EPAには中性脂肪を減らす働きがあるかどうかについて、消費者庁がおこなった食品の機能性評価モデル事業において、A評価(機能性について明確で十分な根拠がある)を受けているのです。
5.まとめ
中性脂肪が400だと驚きますよね。400は確かに安心できる域ではありません。まずは検査結果が正しいかどうか、再検査を受けましょう。それでも中性脂肪が400だった場合、他に病気もなければ、食事と運動を含めた生活習慣を改善して、中性脂肪を正常値に戻しましょう。中性脂肪を下げるキーワードは「青魚」です。今の生活にプラスオンとして、毎日青魚をおいしく食べて、元気な毎日を過ごしましょう。
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