血糖値を気にしているでしょうか。糖質制限ダイエットなどで注目されることもある血糖値ですが、生きる上で大切なエネルギーになります。しかし、多すぎると問題になります。血糖値が高いと太ってしまったり、病気になってしまったりと様々な問題が出てきます。
目次
1.血糖は大事な体のエネルギー
血糖とは血液中に含まれるブドウ糖のことです。体のエネルギー供給源として重要な役割を果たしている成分です。
人はこの血糖の量が一定に保たれるようになっており,正常の場合は空腹時で 70~100mg/dlに保たれているのですが、この値よりも高い場合は高血糖,低い場合は低血糖といわれる状態になります。
また、この血糖はあるタイミングによって増加します。
1-1.血糖は食後に増える
血糖が上昇するタイミングは食後になります。血糖は先ほど説明したように、その成分はブドウ糖です。このブドウ糖はお米や小麦粉、イモ類などの炭水化物が分解されることで作られます。そのため、食後は主食である炭水化物を食べるため、血糖が上昇するのです。
食後の血糖は一時的に100~150mg/dlに上昇しますが、血糖を一定に下げようとインスリンと呼ばれるホルモンが体から分泌されます。そして、このインスリンの作用により臓器や筋肉のエネルギーとして血糖が取り込まれるので、体内の血糖が下がっていくのです。
1-2.血糖が高いとどうなるか
食後の血糖は正常な場合は100~150mg/dlと先ほど説明した通りです。食べすぎやによってはこの食後の血糖値が正常な場合よりも大幅にオーバーしてしまう場合があります。この場合は血糖が臓器や筋肉などで消化しきれなくなってしまうので、余った血糖を脂肪細胞に送り込みます。その結果脂肪がたまり、肥満となってしまいます。
ちなみに、このように太る原因は血糖値の上昇にあるとして、炭水化物を制限するダイエットが糖質制限と呼ばれているものです。
2.食後高血糖には要注意
血糖は先ほど説明したように、血糖が増えると一定を保とうとしてインスリンを分泌して血糖を下げます。通常なら2時間ほどすれば血糖は140mg/dlに未満に低下するのですが、2時間が経っても140mg/dl以上となっている状態は「食後高血糖」もしくは「血糖値スパイク」と呼ばれています。
2-1.食後高血糖だと糖尿や動脈硬化の危険性が
この食後高血糖の状態なのですが、実は糖尿の予備軍の可能性があります。
さらに、心筋梗塞や脳梗塞で病院に運ばれた方に、血糖値スパイクを起こしている方が多い傾向にあります。
血糖値の乱高下が繰り返し起こっている人は、血管のあちこちで動脈硬化が進行し、それが心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクを高めています。血糖値が急激に変動すると、活性酸素が大量に発生し、血管内の細胞が傷つけられていきます。この傷を修復しようと免疫細胞が集まることで、血管の内側が狭くなり、動脈硬化がおこってしまうのです。
2-2.食後高血糖は気づきにくい
食後高血糖が問題になることは気づきにくく、気づいた時にはかなり進行していたということになるからです。なぜ気づきにくいかというと、食後高血糖は食後だけ高血糖の状態になり、空腹時などは正常な人と同じ血糖値になるためです。
参照:社会医療法人 製鉄記念八幡病院 「血糖値スパイク」健康診断では見落としがちな血糖値の異常
健康診断では空腹時の血糖を測って診断するため、図のように食事をとる前の状態では普通の人と変わらない数値が出てしまうため、普通の診断では気づくことが難しいのです。
それでは、どのように食後高血糖に気づけばよいのでしょうか。
2-3.食後高血糖に気づくには尿糖を計る
健康診断では気づきにくい、食後高血糖ですがあまりお金をかけず、自分で気づくことも可能なのです。その一つが尿糖を計る方法です。
尿糖を測るには、上で紹介したような検査薬を使います。紹介している商品は薬局でも購入でき、10枚入りで850円、50枚入りで1800円ほどとそこまで高い商品ではないため。手軽にチェックできます。
使い方は、検査薬におしっこをかけるだけです。ただし、食後高血糖を確認するために行うので、ただ単純に測るだけではなく、食後のタイミングを見て測る必要があります。
血糖値は採血した時点の血液中のブドウ糖の濃度を表した数値で、採血時間、食事の内容、運動の影響などによって、常に変化しています。この変化の中で、血糖値が160mg/dl(腎閾値)を超えると尿に糖が出ますので、尿糖は排尿から次の排尿までの間に起こった高血糖を反映します。
このため、1回での計測では正確には分からない場合があります。なので、3日間ほど継続して尿糖を測るようにしましょう。その中でも1度でも尿糖が検出された場合は食後高血糖の可能性がかなり高くなります。先ほども述べたように、尿糖は血糖が160mg/dlを超えないと出ないため。この数値を超えている場合はかなりの高血糖の状態です。尿糖が検出されたらすぐに病院で検査するようにしましょう。
3.食後高血糖を予防する
食後高血糖を放置しているとゆくゆくは、病気になってしまう可能性があります。そうなる前に、食後高血糖にならないよう予防する方法をお教えします。
3-1.野菜から食べる
食物線維には血糖値の上昇をゆるやかにして、急激な上昇を抑える効果があります。そのため、食事はまず食物繊維を多く含む野菜を、時間をかけて食べるようにしましょう。また、ご飯は血糖上昇値が高い食品にあげられているのでご飯を食べる量を減らしたり、食物繊維が含まれている玄米を代わりに食べることも効果的です。
3-2.ゆっくりと食べる
食後高血糖の予防でとくに注意したいのはゆっくり食事をしましょう。これは、早食いをするとインスリンの働きが追いつかず、食後血糖値が急上昇しやすいためです。
とはいってもゆっくり食べるというのは早食いの癖がついている場合など、実際にやってみるとなかなかうまくいきません。そこでまず、ひと口ごとにかならず箸をおいて、よく噛むことを意識してみましょう。箸をおきながら食べるだけで、食事時間を長くすることができます。
3-3.食後に運動する
適度の運動は、血糖値そのものを下げることに効果がありますが、食後高血糖の予防では運動をするタイミングも大切です。血糖値が上がりやすいのは食後30分~1時間くらいなので、そのタイミングで運動をはじめるのが効果的とされています。
とくに、夕食後は座ったままテレビを観たり、寝転がったりなどエネルギーを消費することがありません。散歩やウォーキングに出かける、あるいは家の中で体操や家事をするなど、15分程度でもいいので食後の運動を習慣づけるとよいでしょう。
4.まとめ
血糖は食後に上昇します。これは人なら当たり前の現象です。しかし、食後に異常に血糖が上がることを食後高血糖と呼びます。食後高血糖は気づきづらく、そのまま放置してしまうと重大な病気を引き起こす原因となってしまいます。そうならないためにも、食後高血糖にならないよう、予防するようにしましょう。
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