• 血糖値
  • 2018/10/31

疾病のリスクを回避するために空腹時血糖値を下げるとっておきのコツ

血糖値

健康診断を受けて、空腹時の血糖値の高さを指摘された方、空腹時血糖値を高いまま放置していると、体を蝕み、糖尿病になることがあります。糖尿病になれば様々な合併症が引き起こされます。しかしながら、空腹時血糖値が高かったということに気が付くことができたということは、改善への道を選ぶことができるという風にとらえることができます。ここでは、空腹時血糖値の数字の見方と、高くなった空腹時血糖値を下げるための方法を紹介します。

1.空腹時血糖値とは

一般的な健康診断の場合、「前の日の夜21時以降には何も食べずに来てください」と言われ、翌日、朝ご飯も食べずに病院に行き、血液検査を行います。お腹ペコペコな時に血液を採り、その血液に含まれる血糖値をはじめ、さまざまな成分を調べます。このお腹ペコペコな状態で測定した血糖値のことを空腹時血糖値と言います。それでは、空腹時に測定した血糖値から何がわかるのでしょうか。

1-1.空腹時血糖値の基準値

空腹時血糖値を知ることで、糖尿になりそうか、あるいはすでに糖尿の可能性があるのかを知ることができます。糖尿病学会によれば、空腹時血糖値は3つの段階に分けられています。

空腹時血糖値(mg/dL)

126以上

110以上~126未満

110未満

糖尿病治療ガイド2018-2019(抜粋) 一般社団法人日本糖尿病学会 

空腹時血糖値は110mg/dL未満であれば、正常値と判断されますが、110mg/dL以上でしたら注意が必要です。もし、126mg/dL以上でしたら、糖尿の可能性がありますので再検査をお勧めします。

1-2.空腹時血糖値は1日の中の最低値

血糖値は一日の生活の中でダイナミックに変化します。血糖値が上がるタイミングは食事をとった後です。朝食、昼食、夕食をとった後は必ず血糖値が上昇します。おやつを食べても血糖値は上昇します。そして一般的には食後2時間も経てば血糖値が下降し元に戻ってきます。

一日の血糖値の推移

一日の血糖値の推移 日本医師会

空腹時血糖値とは、一日の生活の中で、血糖値が下がり切った状態のことを言います。健康診断においては、前日の21時以降から何も食べず、約10時間経ってから採血をします。つまり前の日の晩御飯もすべて消化され、上昇した血糖値もすっかり下がった状態を意味します。

空腹時血糖値が高いという事は、血糖値が下がり切らないという事になります。本来であれば110mg/dL以下に下がるべき血糖値が下がり切らず、110mg/dL以上、あるいは126mg/dL以上になっているということであれば、血糖値を下げ切れていないという意味で、体が悲鳴を上げているという事になります。

1-3.食後血糖値との違い

空腹時には血糖値は下がっている状態ですが、食事をとると血糖値がグーンと上昇します。そして2時間後には血糖値が下がってくることはお話しました。

ところが、食事をとって2時間経っても血糖値が下がってこないとなると、これは問題になります。空腹時血糖値が高くなっていたり、糖尿の可能性があったりすると、食後の血糖値も下がりにくくなっていて、食後2時間経っても血糖値が高い状態が維持されるのです。病院では、食後の血糖値の上昇と下降について検査をすることができます。糖尿病学会によれば、負荷後2時間血糖値は3つの段階に分けられています。

負荷後2時間血糖値(mg/dL)

200mg/dL以上

140以上~200未満

140未満

糖尿病治療ガイド2018-2019(抜粋) 一般社団法人日本糖尿病学会 

負荷後2時間血糖値は140mg/dL未満であれば、正常値と判断されますが、140mg/dL以上でしたら注意が必要です。もし、200mg/dL以上でしたら、糖尿の可能性がありますので再検査をお勧めします。

2.血糖値と糖尿

空腹時血糖値が110mg/dL以上であれば糖尿になる可能性があり、126mg/dL以上であれば糖尿の可能性があります。ただし、空腹時血糖値だけで糖尿の可能性について知ることはできません。先ほど述べました通り、食後2時間の血糖値の値も一緒に見る必要があります。

2-1.血糖値と糖尿のリスクの関係

先ほど紹介しました空腹時血糖値と負荷後2時間血糖値の2つの組み合わせで、正常型、境界型、糖尿型という3つの判定区分が設定されています。それでは下の表を確認してください。

 

空腹時血糖値(mg/dL)

 

負荷後2時間血糖値(mg/dL)

判定区分

126以上

または

200mg/dL以上

糖尿病型

110以上~126未満

 

140以上~200未満

境界型

110未満

および

140未満

正常型

糖尿病治療ガイド2018-2019(抜粋) 一般社団法人日本糖尿病学会 

空腹時血糖値110mg/dL未満で負荷後2時間血糖値140mg/dL未満の③の状態でしたら正常と言えます。一方、②に該当する場合には、糖尿の一歩手前の可能性がありますので要注意になります。もし、①に該当する場合には、糖尿病型と診断されます。

健康診断で負荷後2時間血糖値を測定することはありません。まずは空腹時血糖値で血糖値の状態を知ることになります。空腹時血糖値が高い場合は、再検査を行い、負荷後2時間血糖値を測定して、自分の体の状態を確認しましょう。特に、空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合には、できるだけ早く再検査をすることをお勧めします。

3.空腹時血糖値を下げる方法

高い空腹時血糖値を放置していると、近い将来糖尿病になったり、合併症を引き起こしたりする可能性が高まります。この空腹時血糖値を下げるのは、とても難しいと言われています。しかし、いくら困難なことだったとしても、できることはやらないと改善は見られません。そして、やるべきことは生活習慣の改善しかありません。偏った食事や好きなものばかりを食べる習慣を改め、運動不足などの生活習慣を見直すことで、少しずつでも空腹時血糖値の改善を図りましょう。ここでは、日常的に行動に移せる方法を紹介します。

3-1.食生活を変える方法

バランスのよい食事

生活習慣を改善することは困難なことですが、その中でも食生活を変えることは可能なことはあります。毎日少しだけ意識することで食生活が変わり、習慣が変わればしめたものです。ここでは食生活を改善するコツを紹介します。

3-1-1.食事の5つのコツ

毎日の食事、いつ、どんなものをどのように食べていますか?空腹時血糖値を上がらないようにするためには、次の5つのコツがあります。

  • ゆっくり、よくかんで食べる。

  • 1日3食(朝食、昼食、夕食)を規則正しく食べる。

  • タンパク質、脂質、炭水化物、野菜などバランスよく食べる。

  • 食事は腹八分目でやめる。

  • 夜遅く、あるいは寝る前には食べない。

糖尿病の食事のはなし(基本編) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

5つのコツを逆から見ると、いかに空腹時血糖値を上げるかがわかります。早食いすると一気に食後の血糖値が上昇します。1食抜かすと、次の食事の時に体がエネルギーを欲するため血糖値が上昇しやすくなります。炭水化物に偏った食事をするとやはり食後血糖値が上昇します。腹八分目で抑えずに満腹まで食べると食後の血糖値がより高くなるのは容易に理解できます。寝る直前に食事をすると、エネルギーとして使われることなく血液中に糖があふれることは想像できます。

皆さんどうですか?5つの内、いくつ当てはまりましたか?自分は早食いだと自覚のある人、夜遅くに夕食をとることが多いと自覚のある人、できることから改善していきましょう。食事のバランスは、農林水産省の「食事バランスガイド」がとてもよくわかります。参考にしてみてください。

食事バランスガイド

食事バランスガイド 農林水産省

3-1-2.外食で工夫すべき5つのコツ

外食するときには、どうしてもカロリーが高くなり、栄養バランスも偏りがちになります。仕事帰りに同僚と外食したり、家族で外食したりすることも大切ですから、なくす必要はありません。ただ、次のコツを覚えておくとよいでしょう。

  • 定食を選ぶ。

  • 追加、追加の都度注文をしない。

  • 揚げ物は避ける。

  • 丼物やラーメンの“大盛”は避ける。

  • 外食で食べすぎたり、栄養が偏ったりしたら、その日の別の食事で調整する。

初めから食べる量が決められている定食を頼むのが良いでしょう。飲食しながら注文すると、ついつい食べすぎてしまうものです。定食の中でも、小鉢の多い和食を頼むと、食事のバランスもうまくとることができます。揚げ物はカロリーが高いため、なるべく控えたほうがよいでしょう。カロリーが高いとどうしてもエネルギーが体にあふれ、血糖値も高くなります。丼物やラーメンは炭水化物の塊で、さらには大もりで食べてしまうと、それこそ炭水化物の摂りすぎになります。

最後に、外食するといっても13食外食することはないと思います。外食で食べすぎてしまった場合や、栄養のバランスが偏ってしまった場合には、家で食べるご飯で調整しましょう。

3-2.運動習慣をつける方法

生活習慣の中で、運動習慣をつけることは大変困難です。スポーツジムに通い始めたり、毎日のランニングを始めたりすることは、とてもハードルが高いことです。しかし、運動することはエネルギーを燃やすこと、すなわち、血糖値を下げることにつながります。さらには、筋肉が増えることで血糖を取り込むインスリンというホルモンの効果が高まり、血糖値は低下します。ただ、ジムに通うことができなくても、毎日の生活習慣を少し意識するだけで体を変えることができるのです。毎日、今よりもう少し動く習慣をつけるためのコツを紹介します。

3-2-1.有酸素運動をする5つのコツ

 ウォーキングやジョギング、水泳などの全身運動で、きちんと呼吸をしながらできる運動のことです。ウォーキングでは、115分から30分間を12回できればベストです。

糖尿病の運動のはなし 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

しかし、2回も歩きに行くのは大変と思いがちですが、「さぁ歩きに行くぞ」と気合を入れるのは大変ですよね。でも、生活習慣の中で、次のようなことは実践できませんか。

  • 朝、最寄り駅まで少し回り道する。

  • 昼、2番目に近いコンビニまで歩く。

  • 昼食後に同僚と散歩する。

  • 自宅まで少し回り道をする。

  • 休日、街に出る。

日常の中でも歩くきっかけは作ることができます。はじめは無理せず歩いてみましょう。いつもより少しだけ歩いてみましょう。案外気持ちよく、歩く習慣がつきますよ。

3-2-2.ながら運動の3つのコツ

エネルギーをうまく使う人たちの生活行動にみられた特徴は「日常活動を活発にする、姿勢の良い人」だったという報告があります。日常のながら運動には、想像以上の効果があります。ながら運動のコツは3つです。

  • ちょっと素早く動く

  • 力をこめる

  • 大きく伸ばす

具体的にはまず、買い物歩き、通勤歩き、部屋の中での動きなど、「ちょっと素早く動かすこと」が大切です。いつもより少し早く動いてみましょう。2つ目には、家事、デスクワーク、歯磨き、信号待ちなど、あらゆる場面で普段より「ちょっと力をこめて、ゆっくり行うこと」が大切です。3つ目には、ストレッチです。仕事や家事の合間やお風呂から出た後など、普段より「ちょっと大きく伸ばすこと」がコツです。日常生活での動きを少し大げさにすると考えてよいかと思います。それだけでも、やるとやらないでは大きな違いがあるのです。

日常ながら運動推進協会

3-3.サプリメント

機能性表示食品という健康食品が販売されているのはご存知でしょうか?安全性はもちろん、食品などに含まれる機能性関与成分とそれが持つ機能を消費者庁に届出ることで、機能性を表示できる食品のことです。そして、空腹時血糖値を下げるとして唯一届出を完了している健康食品があります。それは「アラプラス 糖ダウン(消費者庁届出番号:A148)」です。

アラプラス 糖ダウンアラプラス 糖ダウン

届出表示内容は次のようになっています。「本品は5-アミノレブリン酸リン酸塩を含み、高めの空腹時血糖値を正常に近づけることをサポートし、食後血糖値の上昇を穏やかにする機能があります。血糖値が高めの方に適しています。」高めの空腹時血糖値を正常に近づけることをサポートすることが確認されている商品ですので、生活習慣の改善とともに、試してみるのもよいのではないでしょうか。

4.まとめ

健康診断の結果が届き、空腹時血糖値が少し高めで驚かれたかもしれません。空腹時血糖値が少し高いくらいだから大丈夫だろう、という油断は禁物です。空腹時血糖値が高いといろいろな疾病に罹患する恐れがあります。空腹時血糖値は110mg/dL未満であれば、正常値と判断されますが、110mg/dL以上でしたら注意が必要です。もし、126mg/dL以上でしたら、糖尿の可能性がありますので再検査をお勧めします。

空腹時血糖値を下げることは非常に重要なことですが、長年の生活習慣の結果ですから、一朝一夕で達成できるものではありません。改善のためにできることは生活習慣を変えること、特に食事と運動です。今回は、食事と運動において、ちょっと気にかけてほしいコツを紹介いたしました。時々そのコツを思い出して実践することで、健康な体を維持するようにしましょう。

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