ちまたで最近よく聞く「糖化」という言葉。よく目にもするけど、なんだか難しそうだし、意味がよくわからない。ここでは「糖化」についてわかりやすく紹介するとともに、健康な体を維持するための糖化を防ぐ方法を紹介します。
目次
1.糖化とは
糖化とはどういう現象のことなのでしょうか?化学的な話で少し難しいので、身近なお話から糖化を紹介いたします。
1-1.糖化と糖化反応
正式に「糖化」と言えば、デンプンなどの多糖類が分解されて、単糖類などに分解される化学反応のことです。しかしながら、最近の日本において一般に「糖化」と言えば「糖化反応」のことであり、単糖類などがタンパク質や脂質と結合する化学反応のことを言います。これは、食品科学の世界では「メイラード反応」と呼ばれています。ここでは以下、「糖化反応」について紹介します。
1-2.食品の糖化反応
糖化反応とは、先ほど述べましたように、糖がタンパク質や脂質と結合することを言います。わかりやすく言えば、パンやフライドポテトがカラメル色に変化するのは、この糖化反応によるものなのです。糖化反応(メイラード反応)が進んだ食べ物といえば、ドーナツやケーキなどがそれに当たります。
1-3.体の中の糖化反応
それでは体の中で起きる糖化反応とはどういうものでしょうか?実は、先の食品と同じことが、体の中で起きているのです。すなわち、体の中に入った糖が、体の細胞に含まれるタンパク質が脂質と結合してしまうのです。結合するとどうなるのでしょう?それは後ほど紹介します。
1-4.糖化反応の進んだ食品、終末糖化産物(AGE)
AGEという言葉を聞いたことはないでしょうか?これは、終末糖化産物と言われ、「糖とタンパク質が加熱されてできた物質」のことで糖化によってできた物質のことなのです。このAGEが老化を進めているといわれているのです。老化というと、お肌のシミやしわなどを思い浮かべるかもしれませんが、認知症や心筋梗塞、脳梗塞などもAGEが影響を及ぼしているといえるのです。したがって、糖化が進んだ食品を口に入れることで体内に糖化産物が増えて老化が進むということは、まずお伝えしたいことです。
2.糖化が進むと体はボロボロに
体が糖化されると、本来柔らかいはずのタンパク質でできた体に糖が結合することで、体の組織が硬くなり、ボロボロになります。これは全身で見られる現象になります。それでは糖化が進むと体にはどのような影響が見られるのでしょうか?
2-1.肌が糖化される
体の表面で糖化が起きれば、肌やつめや髪の毛に影響が出てきます。肌が糖化されると、肌のたるみやしわ、くすみなどといった現象が見られます。これは肌のタンパク質であるコラーゲンやエラスチンが糖と結合して、肌の組織が硬くなってしまうからです。硬くなってしまうと、肌は水分調整などの機能も失ってしまうこともあります。また、コラーゲンや角質のケラチンはそもそも透明ですが、糖化されると黄色や茶褐色に変化してしまいます。コラーゲンやケラチンの色の変化が肌の内側で起こることにより、肌色がくすんでしまったり、肌のハリを低下させたりするのです。
2-2.赤血球も糖化される
肌の細胞と同じように、赤血球も糖化されるのです。そしてその糖化の度合いは、ヘモグロビンA1cという指標で示され、健康診断でも数値が出ています。この赤血球の寿命は約120日です。ヘモグロビンはタンパク質であり、赤血球に存在します。このヘモグロビンが糖化されたものが、ヘモグロビンA1cであり、糖化反応による産物なのです。すなわち血中に糖が増えると、自然とタンパク質であるヘモグロビンと結合する糖も増えます。過去1~2カ月の血中の糖(血糖値)を反映するマーカーとして、ヘモグロビンA1cが基準となっている理由が、ここにあります。
2-3.血管への影響と糖尿病への影響
体の内部で糖化がおきれば、血管が硬くなって動脈硬化や脳梗塞が起きたり、心筋梗塞へと発展したりすることもあるのです。また、「糖化」そのものが糖尿病に影響を及ぼすというわけではありませんが、糖化反応によって血管のタンパク質などがAGEになり、体が傷つけられることで、糖尿病が悪化することが知られています。これは、糖化によって、糖尿病からくる三大合併症の網膜症、腎症そして神経障害が早まるからなのです。
3.糖化を防ぐための食事方法
体が糖化されると、それは全身の組織を硬くし、ボロボロにすることがわかりました。肌も臓器も同じようにボロボロになることがわかりました。逆に考えますと、糖化を抑えることができれば、潤った肌を保つことができると同時に、臓器もきれいに保つことができ、動脈硬化や心筋梗塞、網膜症、腎症、神経障害なども遠ざけることができるということです。それでは、体の糖化を防ぐためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?
体の糖化を防ぐ食べ方には、大きく2つの方法があります。ひとつは糖質を控えること、もうひとつはAGEの多い食品を避けることです。
3-1.糖質の取りすぎをやめよう
どうして糖化が起きるのでしょうか?それは糖質の取りすぎによるものがひとつの原因です。糖質は体にとって重要なものであり、私たちの生きるエネルギーとなり、脳のエネルギーともなるのです。非常に重要な栄養成分のひとつですが、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」といわれるように、取りすぎがよくないのです。取りすぎにより体内に蓄積した糖は、体の中でたくさんのAGEを生成します。まずは糖質の取りすぎに注意しましょう。
3-2.AGEの多い食品を避ける工夫
AGEの多い食品をとることも、体内にAGEが蓄積していく原因のひとつなのです。それでは、AGEが多い食品と少ない食品とはどういうものでしょうか?
3-2-1.AGEの多い食品
AGEは加熱してこんがり焼けたキツネ色の部分に発生します。まずは単純に「こんがり焼けたキツネ色の食品はAGEが多い」と覚えておきましょう。具体的には、トンカツ、ステーキ、唐揚げ、それに、焼いたり炒めたりした動物性脂肪食品は、AGEが高いといえるでしょう。口に入る、という意味においては、実はタバコもAGEが高いもののひとつなのです。
3-2-2.AGEの少ない食品
加熱されて焦げ目がついたものにAGEが多いわけですから、逆に生野菜や刺身などの生の食品は、AGEが少ない食品といえます。この理屈は簡単ですね。
3-2-3ちょっとした調理の工夫でAGEを減らす
実はAGEは加熱する温度が高いほど多く発生するということが知られています。オーブン焼きよりも炒め物や揚げ物ではAGEの発生を抑えることができます。水を使って、ゆでる、蒸す、煮るという調理でもAGEの発生を抑えることが出来ます。
AGEを避ける工夫
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オーブン焼きよりも炒め物や揚げ物を
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なるべく水を使った調理法を
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焦げ目をあまりつけないように
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生野菜や刺身など生の食品を取り入れよう
4.糖化を避ける生活習慣
一度糖化してしまったタンパク質から糖がはずれることは非常に難しく、糖化は一方通行と考えたほうがよいでしょう。ですから、糖化は進行させないことがもっとも大切なことになります。食べ物については紹介しましたが、その他に誰もができる生活習慣についても紹介します。
4-1.糖の吸収を抑える健康食品
糖質をたくさん取ることが糖化を進めることはお伝えしました。ただ、食べた糖質の吸収を阻害してくれる健康食品を一緒にとることで、少しでも糖の吸収を抑えることはできるかもしれません。ここにはその一例を紹介します。
- 難消化デキストリン
- サラシア由来サラシノール
- アカシア樹皮由来プロアントシアニジン
- グァバ葉ポリフェノール
- 5-アミノレブリン酸
4-2.糖を分解するための運動
体に取り込まれた糖をエネルギーとして消費することも有効な手段です。エネルギーとして体内の糖を使ってしまえば、体の中に糖があふれかえり近くのタンパク質に結合する、ということもなくなります。運動といっても簡単なウォーキングでよいでしょう。体重50kmの方が3km歩くと、おおよそ150kcal消費されます。これは糖質で言えば約40gになります。お茶碗一杯のご飯が150gくらいですが、その中の糖質は56gほどです。すなわち、3km歩くだけで、お茶碗の7割くらいの糖質を燃やすことができるのです。これはかなり効果的だとは思いませんか。
5.まとめ
糖化とは身体のタンパク質が糖と結合して弾力を失うこと。つまり、糖化を防ぐことができれば、身体の外も中もプルプルに保てるということ。糖化に対抗する合言葉は、「糖質を控えよう!」と「こんがり焼けたキツネ色の食品はAGEが多ため、控えよう!」の2つです。健康食品や運動を併用することで、さらに糖化を抑えることができるでしょう。そうすれば、肌も美しく保たれ、糖尿尿の合併症なども遠ざけることができるはず!
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