玉ねぎを料理に使うとき、むいた皮をつい捨ててしまっていませんか?それは実にもったいない!特に血糖、血圧が心配な方は、玉ねぎの皮の効能をぜひ摂り入れたいもの。煮出すだけですぐできる玉ねぎの皮茶を飲んで、皮に特有の健康成分を補給しましょう。
目次
1.「玉ねぎの皮茶」って何?
玉ねぎの実に含まれているイオウ化合物(匂いや辛みの成分)やアミノ酸は、血液の流れをスムーズにしたり、中性脂肪やコレステロールを抑える作用が知られています。 さらに話題を集めているのが、玉ねぎに豊富な黄色い色素成分のケルセチン。血糖値、血圧などを良好に保つほか、余分な脂肪を減らすダイエット効果も明らかにされています。
ケルセチンはアスパラガスやレタスにも含まれていますが、含有量を比較すると玉ねぎが断トツ。さらに、玉ねぎの実よりも、表面の薄茶色の皮に30倍も多く含まれています。そのため、ケルセチンを効率的に摂取するには玉ねぎを普通に食べるよりも、むいた皮を煮出して、鮮やかな紅茶色の煮汁を飲むのが最適。同じく皮に含まれているミネラルやアミノ酸も補給できます。これがすなわち玉ねぎの皮茶で、毎日コップ2~3杯飲めば、検査数値の安定やダイエットを力強くサポートしてくれます。
2.玉ねぎの皮茶の健康効果とは?
玉ねぎの皮茶を飲むことで集中的に摂取できるケルセチンには、幅広い効能があることが報告されています。 血糖値、血圧のコントロールに加えて、骨や関節の老化を抑える作用も判明しており、健康不安を一掃する成分として近年評価は高まるばかりです。
2-1.血糖値を安定させる
すい臓から分泌されるホルモンであるインスリンは、食事で摂取した糖を筋肉や肝臓の細胞に届けて、血糖値を一定レベルに維持する役割があります。糖が高くなっている人の多くは、このインスリンの効き目が悪くなって、血糖の処理能力が低下しているのです。
玉ねぎの皮茶に豊富なケルセチンは、インスリンの効き目を向上させて、細胞に血糖がスムーズに届けられるように促します。それによって、血液中にあふれていた糖が効率的に処理されて、血糖値が良好に落ち着くようになるのです。
2-2.血圧を安定させる
血管の内皮機能を高めることも、ケルセチンの特長的な作用のひとつです。血管の最も内側にあって、血液と接している部分の細胞の働きを血管内皮機能といいます。この機能が整えられると、血管を柔らかく拡張させるNО(一酸化窒素)というガスが正常に作られるようになります。
ケルセチンは同時に、血管を詰まらせる障害物となる血栓(血液の固まり)の発生を抑えるようにも働きます。このように「血管の拡張+血栓の抑制」という相乗効果で、血液の流れがサラサラに改善すると、血管にかかる負担がやわらいで血圧安定に結びつきます。
2-3.ダイエットをサポートする
脂っこいものが好きでつい食べ過ぎてしまう、お腹周りのだぶつきが気になるという方にも、玉ねぎの皮茶のケルセチンがうれしい働きをします。 ケルセチンはまず、食事で摂った脂肪の消化管からの吸収を抑えてくれます。さらに、リパーゼという脂肪分解酵素の働きを活性化させることで、脂肪の消費を促進するのです。
こうしたケルセチンの作用で内臓脂肪の量が減少すると、血糖値や血圧を上げる悪玉物質の分泌も抑えられて、数値がより下がりやすくなるというメリットもあります。
2-4.アレルギーを抑える
花粉などの異物が体に侵入したときの免疫反応として、ヒスタミンという炎症物質が過剰に作られるとアレルギー症状の誘因になります。 ケルセチンはこのヒスタミンの過剰な分泌を抑えて、鼻水や鼻づまりといった症状を緩和するといわれています。また、免疫システムの要である腸内環境をケルセチンが整えることも、アレルギーの抑制に役立っていると考えられています。
2-5.骨・関節の若々しさを保つ
年齢とともに骨密度が減少して、骨がもろくなる傾向は、特に女性に多く見受けられます。ホルモンバランスの変化によって、骨の新陳代謝のリズムが乱れることが原因といわれています。玉ねぎの皮に含まれるケルセチンは、このホルモンバランスの変化にともなう骨密度の減少を抑えると報告されています。
さらに昨今話題となっているのが、関節のなめらかな動きの維持にもケルセチンが有効であること。関節を酸化させて(サビつかせて)、炎症を引き起こす活性酸素を消去して、節々のスムーズな曲げ伸ばしを助けるのです。この働きを抗酸化作用といいます。特に高齢社会を迎えた現在、骨・関節の若々しさを保つケルセチンの効能には大きな期待が寄せられています。
3.玉ねぎの皮茶の材料と作り方
スーパーや青果店で玉ねぎを購入すれば、玉ねぎの皮茶を作る準備は完了。玉ねぎを選ぶときは、皮が実を固く巻いて、よく乾燥していてツヤがあるものが新鮮でおすすめです。皮がはがれにくいときは、玉ねぎを水に10分ほど浸けておくと、皮がほぐれてむきやすくなります。
3-1.玉ねぎの皮茶の材料(1日分)
・玉ねぎの皮……中1個分(4~5枚)
・水……300~400ml(コップ2~3杯分)
3-1.玉ねぎの皮茶の作り方
①玉ねぎの表面の薄茶色の皮をむく。実にくっついている白い薄皮が混じると、できあがりの匂いがきつくなるので取り除いておくこと
②むいた皮をザルに入れて、流水でざっと水洗いしてほこりや汚れを落とす。汚れが取れないところや傷があるところはちぎって取り除く
③水を張った鍋に玉ねぎの皮を入れて、中火~強火で煮る
④5分ほど煮立てて、煮汁が鮮やかな紅茶色に染まったら火を止める。濃さは好みでよいが、長く火にかけると苦みが強くなる。飲むときにお湯で割るか、ハチミツを適量入れてもよい
⑤玉ねぎの皮を取り除いて、ポットなどにそそいでふだんのお茶がわりに飲む。1日に2~3回に分けて飲むとよい
※保存方法・期間 冷蔵庫で保存。その日のうちに飲み切る
★ワンポイントアドバイス~皮をむいた玉ねぎの保存法
玉ねぎの皮は、紫外線の刺激から実を守るためのバリアでもあります。そのため、皮をむいた玉ねぎは、皮つきのままよりも傷みが早くなります。そこで、皮をむいた後、すぐに料理に使うのでなければ、玉ねぎにラップをピッタリ巻いて冷蔵庫で保存法しましょう。
3~4日以内には食べ切るようにします。皮をむいた玉ねぎを厚めの千切りにして(薄く切ると水分が抜けやすい)、冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫に入れておくと、2カ月程度は長く保存できます。
4.玉ねぎの皮茶はこんな飲み方もおすすめ
皮を煮出したらそのまま飲むだけと、実に手軽な玉ねぎの皮茶ですが、こんなポイントを踏まえると毎日の健康管理にますます役立ちます。
4-1.クコの実を加えて作る
玉ねぎの皮茶を作るときに、薬膳料理でも使われる赤いクコの実を数粒加えるのもおすすめです(お茶ができあがったら、玉ねぎの皮と一緒に取り出します)。クコは実を乾燥させたものが一般に市販されています。クコを加えるとお茶がますます色鮮やかになるだけでなく、特有成分である赤い色素のゼアキサンチンも摂取できます。
ゼアキサンチンの効能として知られているのが、目の網膜細胞の劣化を防ぐこと。糖が高くなるとリスクが増す網膜の障害を防ぐうえで、クコの実は頼れる助っ人なのです。
4-2.猛暑の夏はアイスにして飲用する
汗をびっしょりかく夏に注意したいのが、脱水症状によって血液の粘り気が増して、血管の詰まりが起きやすくなること。そこで、予防対策として玉ねぎの皮茶を多めに作って、ペットボトルに入れて冷やして飲みましょう。外出先に携帯して汗をかいたときにゴクゴク飲めば、水分補給に加えて、ケルセチンの血流改善作用を一石二鳥で得られます。
5.玉ねぎの皮茶のおいしい活用術
玉ねぎの皮茶は料理を作るときのだしとしても活用できます。玉ねぎの皮には、アミノ酸の一種でうまみ成分でもあるグルタミン酸も含まれているからです。野菜の自然な味わいがあふれた玉ねぎの皮茶を活用すれば、いつものレシピのおいしさアップに役立ちます。
5-1.玉ねぎの皮茶カレー&シチュー
玉ねぎ2~3個分の皮を600~1000mlの水で煮出して、皮を取り除いたら、そのままカレーやシチューを作るときのスープにしましょう。皮をむいた後の玉ねぎを具材に使えば、玉ねぎの健康効果を余さず摂り入れられます。そのほか、ロールキャベツやスープスパゲティを作るときにも玉ねぎの皮茶は相性抜群です。
5-2.玉ねぎの皮茶味噌汁
玉ねぎの皮茶にかつお節などを入れてだしを取り、スライスした玉ねぎの実を入れてみそ汁を作ります。かつお節のうまみ成分であるイノシン酸が、玉ねぎの皮のグルタミン酸と合わさることで、みそ汁のうま味が引き立ちます。血流をサラサラにするケルセチンの作用で、体もポカポカ温まるヘルシーみそ汁です。
5-3.玉ねぎの皮茶ご飯
普通の水のかわりに、玉ねぎの玉ねぎの皮茶でお米を炊くのもおすすめ。うま味がしっかりしみたご飯ができあがります。そのまま食べるのはもちろん、ピラフやパエリアなど、洋風ご飯を作るときにも味の相性がいいでしょう。
白米はもともと糖質の固まりで、食べると血糖値が大きく上がってしまうのが心配。そこで、玉ねぎの皮茶のケルセチンが、食後に多く分泌されるインスリンの効き目を高めて、血糖値の安定をサポートしてくれます。
6.まとめ
玉ねぎの皮に豊富なケルセチンは、日本をはじめ世界各国でも効能研究が進められている優秀なヘルシーフードです。その最も手軽な活用術といえるのが、今回ご紹介した玉ねぎの皮茶。毎日飲用することで、検査数値の安定やダイエットなどの目標達成に着実に近づいていくことでしょう。
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