糖質のとり過ぎは、肥満や老化を進めるだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞など死に至る病気を引き起こす可能性もある恐ろしい習慣です。しかし少しの工夫をすれば、簡単にバランス良く糖質オフの食事を作ることができます。自分に合った糖質目安量を確認して、糖質をとり過ぎることがなく健康的な食事が作れるようになりましょう。
目次
1 糖質の1日摂取目安
『日本人の食事摂取基準』によると、糖質の1日摂取目安は、30代~40代のデスクワーク中心の女性で250g、男性が330gとされています。食べ物で考えると、毎食お茶碗1杯のごはんと、女性では1食30gを、男性は1食56gをおかずでとると1日の糖質の目安量となります。
1-1 普段の食事にはどのくらい糖質が入っているの?
では、私たちは日頃どのくらいの糖質をとっているのでしょうか。一般的な1日3食の食事を例にして糖質量を見ていきましょう。
朝食 | 糖質量 |
ごはん(茶わん1杯150g) | 55.3g |
みそ汁(豆腐) | 2.2g |
だし巻き卵 | 4.1g |
昼食 | 糖質量 |
コンビニ弁当(幕の内弁当) | 86.2g |
缶コーヒー | 10g |
夕食 | 糖質量 |
カレーライス(白米200g) | 106g |
ポテトサラダ | 12.9g |
缶ビール(1本) | 10g |
1日糖質量合計 | 286.7g |
この食事例では、1章でお伝えした女性の糖質摂取目安250gを超えてしまいました。男性の方や、外食や飲み会の多い方はさらに食べているはずです。普段気にせずに食べていると、気づかないうちに糖質をとり過ぎてしまっているのです。
2 糖質制限はレベルに合わせて3種類
1章で糖質摂取目安量がわかったと思いますが、ここではさらに、「もっと痩せたい!」「糖尿病を改善したい!」など、個人の目標に応じて糖質制限をする際の糖質目安量をご紹介します。
2-1 主食をとらない! スーパー糖質制限
1日の3食とも主食を食べない、1日の糖質摂取量の目安は30g~60gのスーパー糖質制限。とにかくすぐに痩せたい!糖尿病を良くしたい!といった方は短期集中でしてみると良いでしょう。長期間かけて過度に制限しすぎるのは逆に体にとって良くありません。目標達成後は、急に元の食生活に戻るとリバウンドしてしまうので、ゆっくりと糖質を増やしていきましょう。
2-2 1日1食だけ主食を食べる スタンダード糖質制限
1日の糖質摂取量の目安は80g~120g。1日1食は糖質(ごはんなど)を食べるスタンダード糖質制限です。
スーパー糖質制限ほどの即効性はありませんが、制限を緩めることでストレスをあまり感じることなくダイエットを続けることができるでしょう。
2-3 1日2食は主食OK! プチ糖質制限
体型を維持したい方や、食べ過ぎて一時的に増えた体重を戻したい方は、1日の糖質摂取量120g~170gのプチ糖質制限がおすすめです。ストレスなく、ゆっくりとダイエットしたい人向けです。
3 糖質を抑える食事のポイント
では具体的に糖質を抑えるための食事をつくるポイントをご紹介します。献立を考える際にこのポイントを押さえておけば手軽につくることができます。
3-1 主食の量を控える
ごはん1膳分の糖質は55.3g。1日3食ごはんだけでも糖質の割合が高くなってしまいます。ごはんだけでなくパンや麺なども糖質が多く含まれているので要注意です。しかし炭水化物には、糖質の他にも食物繊維やミネラル、カルシウムなどの栄養素が含まれています。ごはんを半膳にするなどして量を減らす代わりに、その分おかずを豊富にして他の栄養素を補っていくことが大切です。
主食1食あたりの糖質量 | |
主食 | 糖質 |
ごはん(茶わん1杯150g) | 55.3g |
うどん(1杯250g) | 58.5g |
そば(1杯170g) | 47.3g |
パスタ(1食250g) | 67.8g |
食パン(6枚切り 1枚60g) | 26.6g |
Gakken『糖質オフの健康やせレシピ』より |
3-2 野菜中心の食事
ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む野菜類は、主食を控えることで不足しがちな栄養を補ってくれます。ポイントは、糖質の少ない緑の葉物野菜をとることです。1食につき野菜摂取の目安は120g。およそ両方のてのひら一杯にのる量を食べるように心がけましょう。また、食べ始めの最初に野菜を食べると糖質の吸収を穏やかにしてくれて、食後血糖値が上がりにくくなるのでおすすめです。
3-3 たんぱく質と脂質を積極的にとる
主食を控えると、主食に多く含まれる炭水化物から得られていたエネルギーが不足し、めまいや脱力感を引き起こしてしまいます。代わりにたんぱく質と脂質からエネルギーを得るようにして補いましょう。たんぱく質の代表例は鶏ささみ、脂質は魚介類やナッツ、オリーブオイルなどから質の良い脂質をとるようにしましょう。注意点として、たんぱく質をとり過ぎると、たんぱく質の処理を行う腎臓の働きが低下してしまう可能性もあります。対策として水分をしっかりとって腎臓の負担とならないようにすることが大切です。
3-4 調味料に注意する
意外と盲点なのが調味料。砂糖100gには糖質が99.2g。みりん100gには糖質が54.9gも入っています。砂糖の代わりとなるラカントや低糖質のみりんなど、糖質オフに役立つ調味料はたくさんあります。これらを積極的に取り入れて調味料からの糖質を抑えていきましょう。
主な調味料の糖質量一覧 | |
品目 | 糖質(100g中) |
上白糖 | 99.2g |
みりん | 54.9g |
甘みそ | 32.3g |
カレー粉 | 26.4g |
ケチャップ | 25.6g |
こいくちしょうゆ | 10.1g |
「五訂日本食品標準成分表」より |
低糖質の調味料についてはこちらから▼
―ラカントの糖質は?安全性は大丈夫なのか、疑問のラカントを紹介!
4 糖質の少ない食材・多い食材
糖質が少ない食材と、糖質が多い食材をまとめました。1食分の食材の量で計算しています。
4-1 糖質の少ない食材
食材(1食分の目安量) | 糖質量 |
鶏ささみ(50g) | 0g |
牛肉かたロース(265g) | 0.5g |
鮭(65g) | 0.1g |
木綿豆腐(200g) | 2.4g |
挽きわり納豆(50g) | 2.3g |
卵(60g) | 0.2g |
キャベツ(30g) | 1g |
まいたけ(15g) | 0.1g |
わかめ(50g) | 0.7g |
江部康二『食品別糖質量ハンドブック』より |
お肉は鶏ささみや鶏むね肉、豚・牛の赤身など、低脂肪の部位がおすすめです。
魚介や卵、大豆製品も糖質が低く、安心して食べられます。青菜など緑の野菜やきのこ、海藻は食物繊維が多く、しっかり食べたい食材です。
4-2 糖質の多い食材
食材(1食分の目安量) | 糖質量 |
ごはん(白米150g) | 55.2g |
食パン(6枚切り1枚60g) | 26.6g |
じゃがいも(110g) | 16.1g |
さつまいも(70g) | 18.9g |
かぼちゃ(60g) | 10.3g |
バナナ(1本220g) | 28.2g |
江部康二『食品別糖質量ハンドブック』より |
食べすぎに注意したいのがごはんなどの穀類やいも、根菜、かぼちゃ、フルーツです。肉加工品や練り製品も糖質が高めなので極力控えましょう。
5 1食の糖質量が40g!プチ糖質制限の1日献立例
1食の糖質量が約40g、1日の糖質量が130g程度にした献立をご紹介します。糖質オフのポイントも紹介していますので、献立を考える際に参考にしてみてくださいね。
5-1 朝食
品目 | 糖質 | |
おにぎり(100g) | 36.8g | |
鮭の塩焼き | 0g | |
みそ汁(豆腐) | 2.2g | |
ヨーグルト(100g) | 4.9g | |
糖質量合計 | 40.3g |
★ポイント
肉や魚は塩焼きや蒸してつくるのが糖質オフ料理の基本です。1品増えるのに糖質0gで、たんぱく質をしっかりとれるので朝からしっかり食べることができ満足感があります。煮物は調味料を多く使うため注意が必要です。
5-2 昼食
品目 | 糖質 |
切り干し大根のかさ増し 塩焼きそば |
42.5g |
コーヒー | 1.3g |
糖質量合計 | 43.8g |
★ポイント
麺が1/2の量でも切り干し大根でかさ増しすると満足感のある食事に。味付けはソースではなく塩味にするのがポイント。キャベツを多めにしても良いですね。眠気覚ましのコーヒーはそのままだと糖質1.3gですが、ガムシロップを入れると糖質が10g増えてしまうので注意です。
5-3 夕食
品目 | 糖質 |
おにぎり(80g) | 29.4g |
チキンソテー | 1.9g |
なめこのみそ汁 | 3.3g |
水菜とわかめのおひたし | 2.1g |
しらたきとにんじん 油揚げの炒め煮 |
3.4g |
糖質量合計 | 40.1g |
1日糖質量合計 | 128.2g |
Gakken『糖質オフの健康やせレシピ』より |
★ポイント
チキンソテーは糖質オフ食事のおすすめメニュー。ごはんを控えめにする分、きのこを使ったみそ汁や副菜を豊富にすると満足感があります。しらたきは糖質がほとんどない食材。間違えやすいのは、はるさめはでんぷんを多く含み糖質が高めですので注意してください。
6 ごはんの代わりに!低糖質の主食食品を紹介
どうしても主食をお腹いっぱい食べたい!と思ったときは、低糖質の食品を使ってみましょう。種類も豊富なので、糖質オフの食事が疲れてきた、変化が欲しいと思ったときに取り入れてみると良いかもしれません。
6-1 低糖質ごはん:へるしごはん(サラヤ)
https://family.saraya.com/herushi/index.html
雑誌『からだにいいこと』女性読者支持率No.1のサラヤのへるしごはん。糖質35.0gで白米に比べて糖質35%カットできるパックごはんです。大麦が混ぜ合わせてあるので、食物繊維は白米の8倍の4.2g含まれています。
6-2 低糖質パン:ふすまパン(低糖工房)
「ふすま」とは、穀物の表皮と胚芽のことです。ふすまパンは小麦粉と違って糖質が少なく、食物繊維・鉄分・カルシウム・ミネラルが豊富に含まれています。
低糖工房の低糖質ロールパンは、1本あたり糖質2.3gと少なく、一般のロールパンと比べて89%も糖質オフされています。ハムや卵を挟んで食べるなどアレンジも簡単。食物繊維が5.4g含まれているのも嬉しいですね。
6-3 低糖質パスタ: CarbOFF 低糖質カルボナーラ&ミートソース(ポポロスパ)
https://www.hagoromofoods.co.jp/carboff/products/
スパゲッティは糖質の高い食材が多く使われており、糖質制限をする人にとっては避けたいメニューです。しかし、この低糖質食品のカーボフシリーズでは、パスタは100gあたり糖質26.7gで手軽に糖質オフができます。低糖質のソースも発売しているので、低糖質パスタと合わせると十分糖質オフメニューになりますね。
7 まとめ
いかがでしたか。毎日の食事に少し工夫をすれば、簡単に糖質オフの食事が作れるようになります。食べる量をむやみに減らすのではなく、糖質の目安量を意識しながらバランスの良い食事をとるように心がけましょう。
SNSで最新情報をチェック