果糖は主に果物やハチミツなどに含まれています。また果物等を食べていなくても、意識せずに果糖を摂っています。というのは、清涼飲料水や乳飲料、冷菓類などに含まれているからです。そのような果糖ですが、なんとなく血糖値を上げず健康にもいいというイメージを持っているかたもいるかもしれません。その原因は、1990年代に栄養学者たちが、果糖は血糖値が上がりにくく糖尿病や高血圧、肥満の予防に有効であると推奨するようになったことに起因します。しかし現代では果糖の過剰摂取によって、逆に糖尿病、高血圧、肥満になるリスクが高まっていると言われています。ここでは、この果糖で血糖値が上がらない理由や果糖の過剰摂取による身体への弊害をご紹介します。
目次
1 果糖で血糖値はほぼあがらない
結論からいうと果糖自体で血糖値が上がることはありません。では一体なぜ上がらないのでしょうか?
1-1 果糖自体で血糖値が上がらない理由
果糖自体では血糖値はほとんど上がりません。なぜならば果糖は腸内からほとんど一直線に肝臓に向かうからです。
通常糖質は腸内から吸収された後血管の血液中を循環します。そしてインスリンの働きで全身の細胞に運ばれ、エネルギーとして利用され、余った分は中性脂肪となります。
一方果糖は、腸内で吸収されると、インスリンの有無に関わらず肝臓へと直行し、すぐさまエネルギーとして利用されます。余った分は中性脂肪に変換され蓄積されます。血管を通らないのであれば血糖値もあがるわけがありません。
1-2 血糖値は上がらないが果糖は太る
ダイエット中の方に果糖はおすすめできません。というのは、血糖値は上がらないが中性脂肪は上がります。要するに太るということです。
また果糖は満腹感を感じにくく、つい食べ過ぎてしまう傾向もみられます。そのため果糖は控えることが賢明でしょう。
2 GI値からみても果糖は血糖値をあげないと証明
GI値とは血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値のことです。これでも果糖は低い値を示します。果糖を豊富に含む果物も当然低い値を示します。また他の糖類と比較しても果糖は低い値を示しています。
表1. 各食べ物のGI値
分類 |
GI値 |
例 |
低GI値 |
55以下 |
ほとんどの果物・野菜、豆類、果糖 |
中GI値 |
56〜69 |
さつまいも、砂糖 |
高GI値 |
70以上 |
ジャガイモ、スイカ、白米、シリアル、グルコース |
3 果糖は太るが果糖を豊富に含む果物では太らない
果物は多量に果糖を含んでいます。しかし、果物はその反面様々な健康効果を発揮します。これは生の果物の場合です。果物ジュースなどでは糖尿病のリスクは上が上がるので注意しましょう。
なぜならば果物ジュースに含まれるのは果汁のみです。果汁には糖質も含まれていて短時間で血糖値を上げてしまいます。一方、果物をまるごと食べると、食物繊維が豊富なために、消化吸収のスピードが遅くなり、血糖値の上昇は緩やかになります。
表2.果物が含む主な栄養素とその効果
|
効果 |
ビタミンA |
目の働きを保つ |
カリウム |
高血圧予防(ナトリウム(塩分)の排泄作用) |
食物繊維 |
便秘予防、発ガン性物質等の体外排泄、生活習慣病の予防 |
ブドウ糖、果糖・ |
疲労回復効果、脳の活性化 |
4 果糖過剰摂取による健康リスク
果糖は満足感を感じにくい反面、とても美味しく甘いので、結局とり過ぎて中性脂肪の増加に繋がるということはよくある話です。デブのもとといわれるだけのことはあります。
過剰に摂取してしまいがちな果糖ですが、過剰摂取による健康リスクも高いです。
4-1 肥満のリスク
果糖も過剰摂取すると、余ったものは肝臓で中性脂肪へと変換されます。そうして、高中性脂肪血症となり肥満をきたすおそれがあります。また甘味は砂糖の約1.7倍もありますので、つい過剰に摂取してしまいがちです。
4-2 老化現象の促進
老化現象を引き起こすのは糖化反応(メイラード現象)が関わってきます。https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/31/9/31_9_592/_pdf参照
要するにこの糖化反応は糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、癌、末端神経障害、難聴、失明などの老化の原因となるようなものを作ってしまうということです。
Influence of advanced glycation end-products and AGE-inhibitors on nucleation-dependent polymerization of β-amyloid peptide参照
種類に関わらず糖質は糖化反応を体内で引きこすが、中でも果糖はグルコースの約10倍量が糖化反応に使われてしまいます。そのためグルコースよりも実は果糖のほうが厄介なものだといえます。
4-3 そのほかの健康リスク
これまで述べたリスクの他にも高血圧、痛風、脂質異常症、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝を引き起こすことが報告されています。ただし過剰なカロリー摂取があった上で、異性化糖(高果糖コーンシロップ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖)として過度な果糖を摂りすぎている人にこれは当てはまります。
Fructose-Containing Sugars, Blood Pressure, and Cardiometabolic Risk: A Critical Review参照
ここまで果糖には肥満、老化現象、その他健康リスクがあると述べてきましたが、いずれにしても過剰な摂取がよくないということです。
適切な食べ物を適切な量で摂取することで、これらのリスクは低くなります。
5 まとめ
いかがでしたでしょうか。確かに果糖自体は過剰摂取による病気のリスクがあります。そして血糖値もあげてしまいます。これはあくまで過剰摂取によるものです。そして果物は果糖を豊富に含みますが、健康効果も期待できますし血糖値もそこまで上がりません。1日の推奨量を守り皮ごと摂取しましょう。
血糖値だけでなく中性脂肪を気にしているかたは「果物の食べすぎ厳禁!中性脂肪を気にする人が食べられる量は?」を参考にしてみてください。
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